なぜお酒を飲むと、しゃっくりが出るのか——炭酸、早飲み、強い酒の刺激が「ヒック」の回路を押す
ハイボールの途中で急に出て止まらないしゃっくり。横隔膜と声帯が同時に動く反射の仕組みから、お酒の席で出やすくなる理由、出にくい飲み方、止め方とその根拠の程度、受診が必要な長引くしゃっくりまでを解説する。
ハイボールを何杯か飲んだころ、「ヒック」と一回。止まったかと思えば、また一回。お酒の席で急にしゃっくりが出て、そのまましばらく止まらなかった経験のある人は多いだろう。
なぜ飲むとしゃっくりが出やすいのか。実は、しゃっくりの役割そのものも、アルコールが引き金になる詳しい仕組みも、はっきりとは分かっていない。それでも、しゃっくりが起こる「回路」は分かっている。そこにお酒の席に特有の刺激を重ねると、出やすい理由が見えてくる。
この記事では、しゃっくりの仕組み、飲酒で出やすくなるとされる理由、そして止め方と注意したい長引くしゃっくりについて整理する。
しゃっくりは「横隔膜」と「声帯」の同時反射
しゃっくりは、呼吸を担う横隔膜が急に強く収縮して息が勢いよく吸い込まれ、その途中で声帯(声門)がパッと閉じる現象だ。吸い込んだ空気が閉じた声門にぶつかって、「ヒック」という独特の音が出る。
常陸大宮済生会病院の健康通信(内科医の解説)によれば、炭酸飲料を飲む、慌てて食べる、激しく笑う、咳をするといった刺激が、のどに分布する舌咽神経から脳の延髄にある「しゃっくり中枢」へ伝わる。延髄は、横隔神経を通じて横隔膜を縮めると同時に、迷走神経を通じて声帯を閉じる指令を出す。こうしてしゃっくりが起こる。
ただし、刺激があれば必ずしゃっくりが出るわけではない。同じ解説によれば、しゃっくり中枢はふだん神経伝達物質のGABA(ギャバ)によって抑えられていて、その抑えよりも刺激が強くなったときに、しゃっくりが出るという。
飲酒は、しゃっくりの代表的なきっかけのひとつ
医療者向けの『MSDマニュアル プロフェッショナル版』は、原因は一般に不明だとしたうえで、一時的なしゃっくりのきっかけとして「胃の拡張」「飲酒」「熱いものや刺激物を飲み込むこと」を挙げている。
お酒の席は、この三つが一度にそろいやすい場だ。
- 胃の拡張:ビールやハイボールの炭酸、食べ物、勢いよく飲み込んだ空気で、胃がふくらむ。
- 飲酒そのもの:同マニュアルはきっかけのひとつに飲酒を挙げている。ただし、アルコールがどのように反射を起こすのかまでは、はっきりしていない。
- 刺激物を飲み込む:度数の高い蒸留酒をストレートで流し込むと、のどや食道に強い刺激が加わる。
ハイボールは、炭酸とアルコールの両方を含む。しかも飲みやすいので、つい勢いよく飲んでしまう。しゃっくりのきっかけが重なりやすい飲み物と言えそうだ。
出にくくする飲み方
しゃっくりを完全に防ぐ方法はない。ただ、きっかけを減らすことはできる。
まず、一気に飲まないこと。炭酸を勢いよく流し込めば、胃がふくらみ、のども強く刺激される。ハイボールは、少しずつ口に含んでも十分においしい。
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