サゼラックの作り方——ライ・角砂糖・ペイショーズ・アニスの香り。グラスを2つ使う「リンス」の手順と代用のコツ
ニューオーリンズ生まれの古典カクテル、サゼラック。本家サゼラック社のレシピを土台に、グラスを2つ使う作り方、砂糖・ステア・リンスの3つのコツ、ライの選び方、エルブサントやビターズが無いときの代用までを解説する。
サゼラックは、ライウイスキーに角砂糖とビターズを合わせ、グラスにアブサン系の酒の香りだけを移して仕上げる、ニューオーリンズ生まれの古典カクテルだ。材料は少ないのに、ほかのカクテルにはない手順がひとつある。グラスを2つ使い、片方のグラスを「香りの器」にすることだ。
この記事では、本家の会社が示すレシピを土台に、家で作るときの分量と手順、つまずきやすいポイント、材料が手に入らないときの代用までを順に紹介する。名前の由来や、コニャックからライへ中身が入れ替わった歴史はサゼラックという名前の物語で詳しく書いたので、ここでは「作る」ことに絞る。
材料(1杯分)
サゼラック社が運営する「サゼラック・ハウス」の公式レシピは次のとおりだ。
- ライウイスキー……45ml(1.5オンス)
- 角砂糖……1個
- ペイショーズ・ビターズ……3ダッシュ
- エルブサント(アニス系のリキュール)……7.5ml(0.25オンス)。グラスの内側を濡らす分
- レモンピール……1片
氷は、グラスを冷やす分と、ステア(混ぜて冷やすこと)に使う分を用意する。
ペイショーズ・ビターズは、ニューオーリンズの薬種商アントワーヌ・ペイショーの名を持つ赤いビターズで、サゼラックの味の芯になる。エルブサントは、アブサンが米国で禁じられていた時代に生まれたアニスの酒で、いまもニューオーリンズの多くのバーはこれを使っていると米『Whisky Advocate』は伝えている。
作り方——グラスを2つ使う
- 1つ目のグラスを冷やす。 ロックグラス(オールドファッションドグラス)に氷を詰めておく。
- 2つ目のグラスで砂糖を溶かす。 別のグラスに角砂糖を入れてビターズを振りかけ、ペストル(すりこぎ棒)やバースプーンの背でつぶして溶かす。溶けにくければ水を数滴たらす。
- ライを加えてステアする。 ライを注ぎ、氷を入れてよく混ぜて冷やす。
- 香りの器を作る。 1つ目のグラスの氷を捨て、エルブサントを入れてグラスを回し、内側全体を濡らす。余った液は捨てる。
- 注ぐ。 3のステアした液を、氷を残して4のグラスに注ぐ。
- レモンピールで仕上げる。 ピールをグラスの上でひねって香りの油を吹きかける。
サゼラックは氷を入れずに出すのが基本だ。グラスに残るのは、エルブサントの香りの膜だけ。口に近づけたときにアニスがふっと香り、飲むとライの辛さと砂糖の甘さ、ビターズの複雑さが続く。この順番の体験が、この一杯の設計そのものだ。
うまく作る3つのポイント
① 砂糖は完全に溶かしてからライを入れる。 『Whisky Advocate』によれば、溶け残りがあると最後のひと口だけが極端に甘くなる。角砂糖が面倒なら、シロップを使うバーテンダーもいるという。
② ステアは長めに。 同誌は45〜55回(15〜20秒ほど)を目安に挙げている。氷なしで出す酒なので、ここで十分に冷やし、適度に水を溶かし込んでおく。冷えが足りないと、アルコールの刺激だけが前に出てしまう。
③ リンスの酒は「少しでいい」。 内側を濡らしたら、余りは必ず捨てる。アニスの香りは強く、残しすぎるとライの個性を塗りつぶしてしまう。主役はあくまでウイスキーで、アブサン系の酒は香水のような役回りだ。
レモンピールは、香りを吹きかけたあとに捨てる人もいれば、グラスの縁に添えて飲み手に任せる人もいる。どちらが正解というより、店や人の流儀の違いと考えていい。
ライの選び方
ベースは、サゼラック社自身のライが最も素直な選択だ。45度で、砂糖とビターズに埋もれない骨格がある。
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