登別に市内初のウイスキー蒸溜所計画 旧婦人センターを転用、2027年春の稼働目標
北海道登別市で、JR登別駅前の旧婦人センターを転用したウイスキー蒸溜所計画が動き出した。市は2026年7月21日に地元の遠田建設側へ譲渡先決定を通知。実現すれば市内初の蒸溜所となり、2027年春の稼働を目指す。
北海道登別市で、閉館した市の施設をウイスキー蒸溜所へ生まれ変わらせる計画が動き出した。市が公募していた旧登別市婦人センターの譲渡先として、地元の遠田建設の代表取締役 遠田耕治氏が設立する新会社が選ばれ、2026年7月21日に決定が通知された。実現すれば登別市内で初めてのウイスキー蒸溜所となる。
計画の中身
対象は登別市登別東町、JR登別駅前に立つ旧婦人センター。1978年に建てられ、2023年2月に閉館していた建物だ。市は2026年6月に公募型プロポーザルを実施し、7月17日の審査を経て事業者を決定した。最低売却価格は税込2,250万円。総事業費は1〜2億円規模で、総務省の地域経済循環創造事業交付金の活用も視野に入れる。
生産量は年間およそ6,000リットルを想定し、麦芽と酵母、そして地元の水を原料にジャパニーズウイスキーをつくる計画。販路はホテルや飲食店、酒販店を想定し、カスクオーナー制度の導入も検討しているという。2026年度内の着工、2027年春の稼働を目標に掲げる。
建設費高騰という逆風の中で
この計画が注目されるのは、いま新規蒸溜所にとって最も厳しいのが資材費と人件費の高騰だからだ。札幌のAZEは2024年、千歳で構想していた施設を建設費高騰を理由に断念している。軽井沢蒸留酒製造と西武ホールディングスによる富良詩(ふらりす)蒸留所も、2025年6月の計画発表から1年を経た2026年6月にようやく起工式を迎えたところで、建物の着工は2027年春、稼働開始の目標は2029年秋という長い道のりだ。北海道のクラフト蒸溜所計画はいま、この壁を越えられるかどうかが分かれ目になっている。その意味で、建設会社自身が事業主体となり、既存の建物を使うという今回の組み立ては合理的だ。
北海道のウイスキー地図に一つ加わる
登別といえば温泉地として全国に知られる。市側には、駅前の空き施設を活かして滞在時間を延ばす狙いもある。北海道には余市蒸溜所や厚岸蒸溜所、ニセコ蒸溜所といった個性の異なる蒸溜所がすでに点在しており、そこに温泉のまちの一軒が加わることになる。実際にグラスに届くのはまだ数年先だが、地図が更新される瞬間として覚えておきたいニュースだ。
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