タリスカー vs ラフロイグ——スモーキーの二大巨頭、「潮と黒胡椒」と「薬品と煙」はどう違う?
「スモーキーの二大巨頭」タリスカーとラフロイグ。同じ煙でも、潮と黒胡椒のスカイ島と、薬品を思わせるアイラ島では質がまるで違う。生い立ち・度数・味を並べ、最初に選ぶべき一本を見極める。
強い煙をまとったウイスキーに惹かれたとき、多くの人が最初の候補に挙げるのがタリスカーとラフロイグだ。どちらも「スモーキーの代名詞」として名高いが、実は煙の“質”がまるで違う。潮風と黒胡椒のタリスカー、薬品を思わせるラフロイグ——この記事では、二本の生い立ち・味・度数を並べ、あなたが最初に選ぶべき一本を見極める。
スカイ島のタリスカー——潮と黒胡椒の煙
タリスカーは、スコットランド北西に浮かぶスカイ島の蒸留所。1830年の創業以来、長らく島で唯一の蒸留所だった(2017年にトラベイグが加わるまで)。産地は通称「アイランズ」と呼ばれ、アイラとは別の島の個性を持つ。
定番のタリスカー10年は度数45.8%と、ウイスキーとしては少し高め。この数字が、口に含んだときの厚みと熱をそのまま伝えてくる。麦芽のフェノール値(煙の強さの目安)はおおむね18〜22ppmとされ、後述のラフロイグより控えめだ。
味わいは、潮の効いた甘みに、ぴりっとした黒胡椒のスパイスが立ち上がるのが最大の特徴。冷却に伝統的なワームタブ(虫樽)を使うことも、この重心の低い口当たりに一役買っているとされる。煙は輪郭がやわらかく、「海を飲むよう」と評される一杯だ。
アイラ島のラフロイグ——薬品を思わせる、剥き出しのアイラ
一方のラフロイグは、スモーキーの聖地アイラ島の南岸、ロッホ・ラフロイグの入り江に建つ。1815年にジョンストン兄弟が創業し、いまも麦芽の一部を自前のフロアモルティング(伝統的な床での製麦)でまかない、島で切り出したピートで燻す。
定番のラフロイグ10年は度数40%(市場によっては43%)。数字は控えめだが、香りの衝撃は桁違いだ。麦芽のフェノール値はおおむね40ppm前後とされ、ヨードや正露丸に例えられる強烈な薬品香が立ち上る。好き嫌いがはっきり分かれ、「ラブ・イット・オア・ヘイト・イット」の代表格として知られる。
その個性は英国王室も認めるところで、1994年には当時のチャールズ皇太子から王室御用達(ロイヤルワラント)を受けている。
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