沖縄最古の泡盛蔵のモルトが「ゴースト・シリーズ」第26弾に
1846年創業の新里酒造が営む州崎蒸溜所のシングルモルトが、ステファン・ヴァン・エイケン氏の独立瓶詰め企画に選ばれた。2ndフィルのスパニッシュオーク・ホグスヘッドから328本、度数は50%。
沖縄県うるま市の州崎(すざき)蒸溜所で造られたシングルモルトが、独立瓶詰め企画「ゴースト・シリーズ」の第26弾として登場した。運営するのは1846年創業の新里酒造で、現存する沖縄の酒造所としては最古とされる蔵だ。琉球王国から泡盛づくりを許された職人の系譜を引く。ウイスキーづくりは2020年に始めたものの、当初は泡盛用の蒸留器を転用したもので、本格的なモルト蒸留は2023年からだった。
樽と度数の決め方
使われたのは2ndフィルのスパニッシュオーク・ホグスヘッド。樽詰めから満3年を迎えたのが2026年6月末で、7月上旬に瓶詰めされた。ボトリングは328本。度数の決め方が少し変わっていて、2026年3月に蒸溜所のブレンダー新里尚哉氏、企画者のステファン・ヴァン・エイケン氏、Aloha Whisky Bar側のデイビッド・ツジモト氏の3人がブラインドで比べ、カスクストレングスの64.2%、57%、50%という3つの案から50%が選ばれている。2026年7月25日に同店で開かれたテイスティング会でお披露目され、以後は在庫限りの取り扱いとなる。価格は公表されていない。
「満3年」がなぜ節目なのか
日本のウイスキー業界が2021年から運用している「ジャパニーズウイスキー」の表示基準では、国内で採水した水を使い、国内で蒸留し、700リットル以下の木製樽で国内において3年以上貯蔵することなどが求められる。3年という線を越えて初めてこの呼称を名乗れるため、新しい蒸溜所にとっては最初の関門になる。今年7月には徳島の阿波乃が四国初を掲げて出荷しており、各地の後発組が同じ節目を次々に迎えている。樽の大きさが熟成に効く理屈は樽のサイズ、スパニッシュオークとアメリカンオークの違いはアメリカンオークとヨーロピアンオークにまとめている。
ゴースト・シリーズという企画
ヴァン・エイケン氏は「ウイスキー・ライジング」の著者として知られるジャーナリストで、このシリーズは同氏が樽を選んで瓶詰めする独立ボトラー企画にあたる。ラベルには月岡芳年の浮世絵「新形三十六怪撰」が使われ、今回は山伏姿の天狗が武将と問答する図。第1弾は2013年の軽井沢16年で140本だった。全36図を使い切ったところで完結する構想であり、今回で26図目に達したことになる。州崎蒸溜所は自社ブランド「琉歌」を既に出しているが、今回はそれとは別に、外部の目で選ばれた1樽という位置づけだ。
次に読む

なぜ蒸溜所は、酒を造る工場なのに見学者を招き入れるようになったのか——1969年に開いた一枚の扉と、年270万件の訪問
蒸溜所はもともと、一般客に語る動機がない場所だった。1969年にグレンフィディックが開いた受付棟から、年270万件の訪問を集める産業へ。蒸溜所見学が生まれた理由と、日本の人気蒸溜所で製造現場が抽選制になった事情をたどる。

なぜジョニーウォーカー ブルーラベルは、年数表記がないのに「最高峰」なのか——初期ボトルに刷られた「15〜60年」と、静かに消えた一行
ブラックラベルは「12年」と刻むのに、シリーズの頂点に立つブルーラベルには年数がない。1987年に「オールデスト」として生まれた一本の、初期ラベルに刷られていた「15-60年」という一行の行方をたどる。

