
WHY THIS TASTE
1830年頃に発明された旧式のカフェ式連続式蒸溜機で造るグレーンウイスキー。竹鶴政孝が1963年に導入したこの蒸溜機は、蒸溜効率で現代の連続式に劣るぶん原料由来の香りや成分が残りやすく、現在は宮城峡蒸溜所で稼働している。一般的なグレーンウイスキーより原料由来の甘さがしっかり残り、やわらかく厚みのある味わいとまろやかな余韻が特徴。2012年に欧州で先行発売され、翌2013年に国内で発売された。45度。

この味を生む蒸留所
宮城峡蒸溜所宮城県仙台市、新川川と広瀬川の合流点近くに立つ、ニッカウヰスキー第2の蒸溜所である。1967年、竹鶴政孝が自ら訪れ、新川川の水でブラックニッカを試飲し、その水質を絶賛して即座に建設を決めた。1969年、わずか2年で完成した。この地は仙台市中心部から西へ約20km、二つの川がもたらす気温差で霧が発生しやすく、熟成にも適した環境だ。最大の特徴は、余市の石炭直火とは対照的な「スチーム間接加熱」。球形に近い、上向きに膨らんだポットスチルを用いる。この穏やかな加熱が、ソフトでフローラルな酒質を生む。余市の重厚さと対をなす、まろやかな日本ウイスキーの造り手だ。
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ニッカ カフェグレーンNikka Coffey Grain
1963年にスコットランドから輸入された、宮城峡蒸溜所のヴィンテージ・カフェ式連続式蒸留機で造られるシングルグレーン。トウモロコシ主体のもろみを低いリフラックスでじっくり蒸留することで、現代的な連続式蒸留機では失われがちな果実味やバターのような風味を残す、グレーンウイスキーの概念を覆す一本。
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竹鶴政孝が興したニッカは、なぜビール会社アサヒのグループにいるのか。創業時の出資者・加賀正太郎、1954年の朝日麦酒の資本参加、2001年の営業統合までをたどり、両社をつなぐ縁を整理する。

だるま瓶のオールドと、竹鶴政孝がリタを失った翌年に生んだスーパーニッカ。同じ43%の昭和生まれのブレンデッドは、シェリー樽という一本の軸と、三つの原酒の組み合わせという正反対の設計でできている。違いと飲み分けを整理する。

ニッカの「カフェグレーン」と「カフェモルト」は、同じカフェスチルで造られ、度数も参考価格も同じ。公表スペックで違うのはトウモロコシか大麦麦芽かという原料だ。二本の香味の違い、麦芽100%なのにスコッチ基準ではグレーンになる理由、どちらから選ぶべきかを整理する。

日本を代表するグレーンウイスキー二本は、原料も蒸溜方式の大分類も同じで定価まで同額。それでも味が分かれるのは、もろみを何本の蒸溜塔に通すかが違うから。造りの違いと、2022年に知多が入れたカフェ式、度数・実勢価格・飲み分けまで整理する。

蒸留にまつわる「アルコール」「アランビック」「エリキシル」は、いずれもアラビア語由来。しかも al-kuḥl の原義はまぶたに引く黒い粉だった。酒を戒めた社会で薔薇水の道具として磨かれた蒸留器と、そこから受け継がれた言葉が、ウイスキーのグラスにたどり着くまで。

大麦はウイスキーにもウォッカにもなれる。それでも片方は琥珀色になり、片方は無色のまま棚に並ぶ。二つを分けているのは、蒸留をどこで止めるかという一線と、樽で過ごす3年だった。