
WHY THIS TASTE
1930年に「サントリー赤札」として世に出た一本。ピート香の強さで受け入れられなかった白札(現ホワイト)のブレンドを見直して生まれた経緯を持ち、1964年に中身とボトルを刷新して現在の「レッド」になった。39度とサントリーの定番のなかでも低い度数で、甘さに寄らない辛口寄りの味わいは食中に飲まれることを前提にした設計。基本容量が700mlではなく640ml瓶という点にも、家庭の食卓に置かれる酒としての性格が出ている。2017年にラベル意匠が15年ぶりに刷新された。

この味を生む蒸留所
山崎蒸溜所大阪府三島郡島本町、天王山の麓に立つ、日本初のモルトウイスキー専門蒸溜所である。1923年、サントリー創業者・鳥井信治郎が、本格的な国産ウイスキー造りを志し、スコットランドで学んだ竹鶴政孝を招いて建設した。鳥井は「天王山があって、木津川・桂川・宇治川の三川が合流するから朝靄もかかる、水質もいい、交通も便利だ」とこの地を選んだ理由を語っている。かつて茶人・千利休が茶室「待庵」を構えたほど水質に恵まれた土地でもある。三川合流による湿潤な気候が、熟成に適した環境を生む。多彩な木樽・原酒を仕込み分け、複雑な味わいを追求する。2023年に創業100周年を迎えた、日本ウイスキー発祥の地だ。
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サントリー レッドSuntory Red
1930年に「サントリー赤札」として発売後、一時出荷停止を経て1964年に「レッド」として再発売。ホワイトの半額という手頃な価格設定で大衆に浸透した大衆ブレンド。グレーンスピリッツに加え、海外産の原酒も一部使用する、より簡素な構成が特徴。
国内産モルト・グレーン原酒に加え、海外産原酒も一部使用するとされるが、具体的な出所・配合比は非公開。
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酒屋の棚から一本を選べること。この当たり前を、日本は一度まるごと失っている。一世帯ひと月四合の配給、切符と交換したビール、そして配給が解けたあとも十五年続いた価格の統制を、記録でたどる。

古いボトルに刷られた「特級」の二文字は、味の格付けではなく税金の区分だった。法律上は原酒が一滴でもウイスキーと名乗れた時代、GATTが突きつけた勧告、そして1989年の廃止。ラベルの二文字が語る、戦後日本とウイスキーの物語。