
WHY THIS TASTE
ピートを焚かず熱風だけで乾燥させたノンピートモルトを使うことが、この一本の設計そのもの。1956年に特級ウイスキーとして始まったブラックニッカのなかで、スモーキーさを完全に外した系統として2011年8月に発売された。度数もシリーズ最低の37度に抑えられ、バニラのようなやさしい甘さと軽い口当たりが前に出る。余市由来のピート感を残すディープブレンド(45度)とは、同じブランドのなかでも麦芽のつくり方から違う対極の存在にあたる。

この味を生む蒸留所
余市蒸溜所北海道余市町に立つ、ニッカウヰスキー発祥の蒸溜所である。1934年、「日本ウイスキーの父」竹鶴政孝が創業した。竹鶴は理想のウイスキー造りの地を求め、スコットランドに似た気候、豊かな水、澄んだ空気を持つこの地にたどり着いた。良質な大麦と、スモーキーな風味を生むピート(草炭)が豊富に採れることも決め手となった。最大の特徴は、今や世界でも稀となった「石炭直火蒸溜」。石炭をくべて直接スチルを熱するこの製法は、力強く重厚な酒質を生む。90年にわたり受け継がれてきた「竹鶴の火」だ。事務所棟など10棟が国の重要文化財に指定されている、日本ウイスキー史の聖地である。
蒸留所の詳細を見る →このボトルのブランド
ブラックニッカBlack Nikka
1956年発売、1965年に一級ウイスキーとして刷新された、ニッカウヰスキーの大衆定番ブランド。1985年、余市のモルト原酒に宮城峡のシェリー樽モルト、さらに宮城峡で生まれるカフェグレーン原酒を加えた「ブラックニッカ スペシャル」で完成形に至った。竹鶴政孝のもう一つの理念——「日常に寄り添うウイスキー」を体現する存在である。
余市・宮城峡(モルト・カフェグレーンとも)の自社原酒で構成されるが、具体的な配合比は非公開。
このブランドの他のボトルを見る →
同じグレンフィディック12年が、英国の高級スーパーでは£44、日本では3,960円から。価格差5,500円のうち税で説明できるのはどこまでか。日英の酒税を一次資料の数字で分解し、スコットランドの最低単価規制まで確かめる。

同じメーカーがレモンの有無で別レシピを立て、サントリーは果汁、デュワーズは皮を指定する。レモンの香りは皮の油胞にあり、酸は果汁にある。皮・果汁・実の三つに分けて考えると、ハイボールのレモンは使い分けられる。

家族に指摘されるのは決まって飲んだ翌朝。よく言われる「のどの筋肉がゆるむから」は、実のところ直接の裏づけが薄い。鼻・のどの通り道・呼吸への反応という三つの経路を、メタ解析と古典的な実験から読み解く。

山崎12年の希望小売価格は税込17,600円。だが実売は2万円台前半。これは違法ではない。日本の法律にはメーカーが決めた値段を小売店に守らせる仕組みが無く、独占禁止法がむしろ原則として禁じているのは、価格を縛る側のほうだった。

国税庁の統計では、この10年で酒の消費は約9%減った。ところが同じ10年で、ウイスキーの販売数量は1.88倍になっている。誰がどれだけ飲まなくなり、なぜウイスキーが伸びたのかを、公的統計の数字から追う。

ウイスキー一杯で赤くなる体質は、世界80,691人ぶんのデータを重ねても東アジア以外にほぼ存在しない。しかも日本のなかでさえ、秋田と三重では大きく違う。その分布と起源、そして飲み手が本当に知るべき数字を追う。