WHY THIS TASTE
燻蒸しないノンピートの麦芽を銅製ポットスチルで2回だけ蒸溜する——3回蒸溜が主流のアイリッシュの中では珍しい造りで、その分だけ麦の甘みと厚みが残る。この一本はその原酒をバーボン樽で10年寝かせたのち、マデイラ樽で追加熟成したもの。酸化熟成を経た酒精強化ワインの樽が、赤い果実のニュアンスとカカオ・キャラメル・オールスパイスの余韻を重ねる。度数はNASの定番より高い46%で、樽の甘みが水っぽくならずに立ち上がる。

この味を生む蒸留所
クーリー蒸留所アイルランド東岸ラウス県のクーリー半島に立つ、アイリッシュ・ウイスキー復興の先駆けである。ハーバードでアイリッシュ・ウイスキーの衰退を論じたジョン・ティーリングが、1985年に国営のジャガイモ由来アルコール蒸留所を買い取り、2年足らずで転換。1987年に創業したこの蒸留所は、実に100年ぶりにアイルランドに生まれた新蒸留所だった。大手のアイリッシュ・ディスティラーズが3回蒸留を標榜する中、ティーリングはスコットランド人蒸留家ゴードン・ミッチェルの助力を得て、あえて2回蒸留を選んだ。ピートを効かせた「コネマラ」など、それまでのアイリッシュにない個性を打ち出し、現在はサントリー傘下でその遺産を受け継いでいる。
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タイコネルTyrconnell
アイルランドのシングルモルトウイスキー。競走馬の名に由来し、19世紀末には禁酒法前の米国でベストセラーとなった歴史を持つ。1987年設立のクーリー蒸留所が1988年にブランド名を取得し1993年に復活させた。現在はサントリー傘下(旧ビーム社買収による)。3回蒸溜が主流のアイリッシュにあって、燻蒸しないノンピート麦芽を銅製ポットスチルで2回蒸溜する造りを採り、麦の甘みを残した味わいを特徴とする。定番のNAS版に加え、10年をマデイラ・ポート・オロロソシェリーの各樽で後熟させた三部作を展開する。
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