Cooley
アイルランド東岸ラウス県のクーリー半島に立つ、アイリッシュ・ウイスキー復興の先駆けである。ハーバードでアイリッシュ・ウイスキーの衰退を論じたジョン・ティーリングが、1985年に国営のジャガイモ由来アルコール蒸留所を買い取り、2年足らずで転換。1987年に創業したこの蒸留所は、実に100年ぶりにアイルランドに生まれた新蒸留所だった。大手のアイリッシュ・ディスティラーズが3回蒸留を標榜する中、ティーリングはスコットランド人蒸留家ゴードン・ミッチェルの助力を得て、あえて2回蒸留を選んだ。ピートを効かせた「コネマラ」など、それまでのアイリッシュにない個性を打ち出し、現在はサントリー傘下でその遺産を受け継いでいる。
クーリー最大の特徴は、大手のアイリッシュ・ディスティラーズが標榜する3回蒸留とは異なり、あえて2回蒸留を採る点だ。ティーリングは他社との差別化を狙い、スコットランド人蒸留家ゴードン・ミッチェルの助言を得てこの製法を選んだ。麦芽を用いたシングルモルトを軸に、ピートを効かせた原酒も造る。この柔軟な発想が、それまでのアイリッシュにない個性を生んだ。
クーリー蒸留所は、ジョン・ティーリングが1985年に国営のジャガイモ由来アルコール蒸留所を買い取り、2年足らずで2基の連続式蒸留器を備えた蒸留所へ転換して、1987年に創業した。ティーリングの構想は1971年、ハーバード大学でアイリッシュ・ウイスキー生産の急速な衰退を論じた論文に始まる。1987年の創業は、実に100年ぶりにアイルランドで新設された蒸留所であり、業界復興の号砲となった。2011年にビーム社が買収を発表し、2014年のサントリーによるビーム買収を経て、現在はサントリー・グローバル・スピリッツに属する。
蒸留所はアイルランド東岸、ラウス県のクーリー半島リバーズタウンに立つ。海に突き出た半島の冷涼な気候と、周辺の清らかな水が、造りと熟成の背景となる。1988年には、大手が集約で閉じた歴史あるキルベガン蒸留所を、キルベガンとロックスのブランドとともに買収し、その伝統も受け継いだ。
異例なほど重厚にピートを焚いたシングルモルト「コネマラ」は、ベルベットのようになめらかで、甘い果実味とバニラの含みを持つ。単一蒸留所のシングルモルト「タイアコネル」も看板で、加えてキルベガンやロックスのブランドも手がける。アイリッシュの多様性を切り拓いた、革新的な造り手だ。

この蒸留所が属する地域
禁酒法や英愛貿易戦争などを経て20世紀に大きく衰退したが、「アイリッシュウイスキーの父」と呼ばれる再興を経て2020年代には蒸留所数が40を超えるまでに回復した。多くは単式蒸留器で3回蒸留する伝統製法を用い、ノンピートの大麦を使うためスコッチに比べて軽やかでまろやかな味わいになりやすい。
アイルランドを深掘りする →地理ではなく味わいで繋がる、別の産地の蒸留所。