
WHY THIS TASTE
9年という若さでも痩せた印象にならないのは、アメリカンオークのバーボン樽とヨーロッパ産オロロソシェリー樽という、性格の違う二種類の原酒を組み合わせているため。バーボン樽がバニラを思わせる甘い樽香を、オロロソシェリー樽が乾いた果実の甘みとコクを持ち込み、40度という穏やかな度数がその二つを角なくまとめる。ボウモアのスモーキーさは前に出ず、やわらかく輪郭を与える役に回る。バーボン樽由来の原酒を軸にしたNo.1と、同じ二樽構成で熟成を三年伸ばした12年との間を埋める、定番ラインナップの新しい入口にあたる一本。

この味を生む蒸留所
ボウモア蒸留所1779年創業、アイラ島最古の蒸留所。島の中心の町ボウモアに、インダール湾へ face を向けて建つ。ラガン川から引く水と、島のピートで自家製麦した麦芽が、この蒸留所の背骨を成す。ボウモアを唯一無二にするのは、海面下に横たわる伝説の熟成庫「No.1 Vaults」だ。潮騒が壁を叩き、海の湿気を吸い込みながら眠る樽は、他では得られない塩気と深みを原酒に授ける。味わいはミディアムピートのバランス型で、南国のフルーツやハチミツ、そしてかすかな潮。攻撃的なアイラ勢の中では調和と優雅さを体現し、入門にも通好みにも応える懐の深さを持つ。現在はビーム サントリーが運営。二世紀半にわたり、島の暮らしとともに煙を上げ続けてきた生き証人である。
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ボウモアBowmore
スコットランド・アイラ島最古とされる蒸溜所で1779年創業。マター家などを経て複数回オーナーが変わり、1994年に日本のサントリーが完全子会社化した。伝統のフロアモルティングを今も維持し、潮風の影響を受ける熟成庫で穏やかなピート香と塩気のある個性を育む。歴史と革新を両立させるアイラの代表的銘柄の一つ。
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