
WHY THIS TASTE
1991年のフラワー&ファウナシリーズで公式ボトルとして世に出て、2002年にディアジオの「ヒドゥン・モルト」として刷新された蒸留所の看板。それ以前は1984年からゴードン&マクファイル社がライセンス供給の12年を出しており、この14年が自社ブランドとしての再出発点になった。熟成はバーボン樽とリフィルのアメリカンオーク樽を組み合わせて14年、46度で瓶詰め。度数を落としすぎないことで、蜜蝋のような質感と洋梨の果実香が樽の甘みに覆われず前面に残る設計になっている。

この味を生む蒸留所
クライヌリッシュ蒸留所スコットランド北部ハイランド、サザーランドのブローラ近郊に立つ蒸留所である。1967年、生産量を増やすため、伝説的な旧クライヌリッシュ(現ブローラ)蒸留所の隣に、新しいクライヌリッシュが建設された。1967年8月から翌68年8月まで、新旧2つの蒸留所が並行稼働し、内部では新を「クライヌリッシュA」、旧を「B」と呼んだ。この間、スコッチ・ウイスキー協会が同名の重複を認めず、旧蒸留所は「ブローラ」と改名された。最大の特徴は「ワクシー(蝋のような)」な酒質。スピリッツスチルを低温で走らせ、アルコールをよく分離することで、この柔らかく個性的な質感が生まれる。ジョニーウォーカー・ゴールドの核を担う、北ハイランドの名蒸留所だ。
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クライヌリッシュClynelish
スコットランド・ハイランド地方の沿岸の村ブローラにあるクライヌリッシュ蒸溜所のシングルモルト。ディアジオ社が所有し、生産量の95%がジョニーウォーカーのブレンド原酒として使われる。短い冷却器による独特の「ワクシー」な質感が特徴で、軽やかなピート香を伴う穏やかなハイランドモルトとして評価が高い。2017年に生産能力を拡張し、年間480万リットルを生産する。
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テイスティングノートでよく見る「フルボディ」「ライトボディ」。ボディとは口の中で感じる厚みのこと。その厚みがどこから来るのかを、度数・蒸溜・冷却濾過・樽の4つから読み解き、飲み方に合わせた選び方までまとめる。

市販ウイスキー14本を官能評価と化学分析にかけ、マンゴー香の弱い一本に加えて確かめる。そうして挙がった三つは、アルデヒド二つとアセタール一つだった。どれも単体では、誰も「マンゴー」とは呼んでいない。

一本ずつ飲んでも違いは言葉にならない。二つのグラスを並べ、変える条件をひとつだけに絞ると差がはっきり立ち上がる。ピート・樽・新樽と中古樽・加水・ブレンドとその指紋——家でできる5つの組み合わせ。

同じ北ハイランド東岸、どちらも「潮っぽい」「オイリー」と語られる二本。だが海でも樽でも差は説明しきれない。残るのは、捨てるはずのタンクの底と、更新されるはずの設備一式——二軒が手放さなかったものの違いだ。

ポート・エレンもブローラも、味が悪くて閉じられたのではない。史上最大級の在庫過剰「ウイスキー・ロッホ」はなぜ起き、DCLは何を基準に止める蒸溜所を選んだのか。日本で同時に起きていたことも追う。

ブラックラベルは「12年」と刻むのに、シリーズの頂点に立つブルーラベルには年数がない。1987年に「オールデスト」として生まれた一本の、初期ラベルに刷られていた「15-60年」という一行の行方をたどる。