
WHY THIS TASTE
ホビスター・ムーアで切り出したオークニーのピートで焚いた麦芽を使うが、フェノール値は約20ppmと控えめ。このピートはヘザー(灌木)を多く含むため、アイラ的な薬品香ではなく花のように甘い煙になるのが最大の個性。熟成はシェリーをシーズニングした欧州オークとアメリカンオークが主体で、スパイスと柑橘、蜂蜜の甘みが煙と拮抗する。40度。2017年から「ヴァイキング・オナー」の名を冠していたが、2024年のパッケージ刷新で呼称は外された。

この味を生む蒸留所
ハイランドパーク蒸留所スコットランド、オークニー諸島のカークウォールに立つ、最も北にあるシングルモルト蒸留所である。1798年、昼は肉屋・教会役員、夜は密造者という二つの顔を持つマグヌス・ユンソンが密造していた地に始まり、1826年に正式な免許を得た。最大の特徴は、地元ホビスター・ムーアのピートを用いる点。アイラの重厚なピートとは異なり、ヒースを思わせるフローラルで甘い煙をまとう。また、スコットランドでも数少ない、伝統的なフロアモルティングを今も守る蒸留所の一つで、必要な麦芽の約5分の1を自社で製麦する。1999年からエドリントン・グループが所有する。ヴァイキングの歴史を纏う、オークニーの名門だ。
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ハイランドパークHighland Park
スコットランド・オークニー諸島カークウォールにあるハイランドパーク蒸溜所が生産するシングルモルトウイスキー。世界最北のスコッチモルト蒸溜所として知られ、1798年創業。木がほとんど育たないオークニーの土壌ゆえ、樹木の根ではなくヘザー(ヒース)を多く含む独特のピートを使用しており、華やかで上品なスモーキーさが特徴。スペインのオロロソシェリー樽で熟成させる伝統的な製法を守り続けている。マッカランなどを擁するエドリントン・グループの傘下ブランド。
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ウイスキーの現場で当たり前になったチューリップ型のグラス。世に出たのは2001年、設計は二十年近く引き出しに眠っていた。五人のマスターブレンダーが手を入れた一脚が共通語になるまでと、2025年に満了した意匠権の話。

同じ「島の、ほどよく煙る一本」として並ぶタリスカー10年とハイランドパーク12年。実は煙の量は選び分けの手がかりにならない。効いているのは樽・酒質・度数で、それぞれ担当する場所が違う。

スコットランドで自家製麦の床を動かしている蒸溜所は10軒に満たない。麦芽はニューメイクの製造コストの55〜60%、フロア製麦は収量が2〜5%落ちうる。それでも残す側と「あれはロマンだ」と言う側、双方の言い分と、近年の復活をたどる。

1907年のニムロド遠征隊が南極に残したマッキンレーのウイスキーが発見され、3本が成分分析にかけられた。凝固点マイナス34.3度、軽いピート、アメリカンオークのシェリー樽。19世紀末スコッチの像に収まらない姿が出てきた。

1月25日のバーンズ・ナイト。ハギスに詩を捧げ、ウイスキーで乾杯し、最後は「蛍の光」でお開きにする。その原曲を世に出した詩人ロバート・バーンズは、のちに酒の税を取り立てる酒税官になった人だった。

ウイスキーの蒸溜所には、かつて猫がいた。生涯に28,899匹のネズミを捕ったとされるトウザーをはじめ、番人たちの記録が残る。なぜ酒を造る場所に猫が必要だったのか、そしてなぜ姿を消したのかを、フロアモルティングの衰退と衛生規則からたどる。