
WHY THIS TASTE
本坊酒造のウイスキー造りの礎を築いた岩井喜一郎への敬意を込め、2010年に発売されたブレンデッド。岩井が設計した「岩井ポットスチル」で蒸溜した自社モルトをベースに、複数の原酒をブレンドして仕立てる。40度と穏やかな度数ながら、口当たりはやわらかく、ボディはしっかりして熟成感が残るのが特徴で、複雑で心地よい香りに上品な重厚感が同居する。同じ岩井の名を冠するシリーズには樽違いの後熟版もあり、本作はその基準となる定番ボトルにあたる。

この味を生む蒸留所
マルス駒ヶ岳蒸溜所長野県宮田村、中央アルプス木曽駒ヶ岳の麓、標高798メートルに立つ、本坊酒造の蒸溜所である(2024年3月に「マルス駒ヶ岳蒸溜所」へ改称)。本坊酒造は1872年創業、1949年からウイスキー事業に参入し、1960年に山梨県石和町で蒸留を始めた。敷地が手狭になったこと、国内需要の高まりを受け、1985年にこの地へ移設された。日本の蒸溜所としては最高標高クラス。そばを流れる太田切川の清冽な水と、夏30℃・冬マイナス15℃という激しい寒暖差が特徴だ。1992年のウイスキー不況で蒸留を休止したが、2011年、19年ぶりに再開した。日本一標高の高い場所で原酒を育む、南信州の造り手だ。
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岩井トラディションMars Iwai Tradition
日本の連続式蒸留機の発明者であり、竹鶴政孝をスコットランドへ送り出した恩師でもある岩井喜一郎の名を冠したブレンド。本坊酒造傘下のマルス信州蒸溜所・マルス津貫蒸溜所の原酒を組み合わせ、ノンピートでシェリー樽由来の甘やかさを持つ味わいに仕上げる。
構成比は非公開。
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ペットボトルのお茶には原材料も栄養成分も並ぶのに、ウイスキーの瓶にカロリーは無い。書き忘れではなく、食品表示基準が「酒類」を名指しで義務から外している。何が免除され、なぜ国産ウイスキーには原材料名があるのかを条文から読む。

竹鶴政孝がスコットランドから持ち帰った報告書を受け取ったのは、岩井喜一郎という技師だった。その設計を継いで中央アルプスに建ち、19年の休止を経て動き出したマルス駒ヶ岳蒸溜所の物語。