WHY THIS TASTE
トリスの上位として置かれていた40度の一本。副原料にレモンピールスピリッツを使い、ハイボールにしたときの香りの立ち方を中身の側から設計に組み込んでいた点が、キーモルトにシェリー樽の白州モルトを据える37度のクラシックとの最大の違い。2024年3月をもって販売を終了しており、現在店頭に残るのは流通在庫にあたる。

この味を生む蒸留所
山崎蒸溜所大阪府三島郡島本町、天王山の麓に立つ、日本初のモルトウイスキー専門蒸溜所である。1923年、サントリー創業者・鳥井信治郎が、本格的な国産ウイスキー造りを志し、スコットランドで学んだ竹鶴政孝を招いて建設した。鳥井は「天王山があって、木津川・桂川・宇治川の三川が合流するから朝靄もかかる、水質もいい、交通も便利だ」とこの地を選んだ理由を語っている。かつて茶人・千利休が茶室「待庵」を構えたほど水質に恵まれた土地でもある。三川合流による湿潤な気候が、熟成に適した環境を生む。多彩な木樽・原酒を仕込み分け、複雑な味わいを追求する。2023年に創業100周年を迎えた、日本ウイスキー発祥の地だ。
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トリスTorys
1946年、創業者・鳥井信治郎が戦後の混乱期に「まがい物ではない酒」として送り出した大衆ブレンド。名は「鳥井のもの」に由来する。1989年の酒税法改正後はモルトウイスキー・グレーンウイスキー・原料用アルコールを組み合わせる構成となり、手頃な価格で親しまれる大衆ブランドとして今も定番の地位を保つ。
構成比は非公開だが、サントリー自社の山崎・白州(モルト)と知多(グレーン)が原酒供給元となる。
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スーパーで並ぶブラックニッカ クリアとトリス クラシック。どちらも37度・1,000円前後の家飲み定番だが、設計思想は正反対。ノンピートでクセを消したクリアと、シェリー樽・白州モルトで厚みを残すトリス。味の違いと目的別の選び方を整理する。

1946年、焼け跡の日本に「うまい、やすい」の合言葉で生まれたトリス。トリスバー、アンクルトリス、名コピーライターたち——背伸びしない一杯が、なぜ約80年も日本のウイスキーの入口であり続けるのかを読み解く。