「フレーバードウイスキー」とは何か——ラベルに「リキュール」と書かれている理由と、甘い一杯の選び方
ハチミツやシナモンの名を冠したウイスキー。名前はウイスキーなのに、日本のラベルの品目欄には「リキュール」と書かれていることが多い。その理由と、35%前後という度数との付き合い方、美味しく飲むコツをまとめた。
酒売り場のウイスキー棚に、ハチミツやリンゴ、シナモンの名を冠したボトルが並んでいる。ラベルにはよく知る蒸留所の名前。ところが裏の表示を見ると、品目の欄には「ウイスキー」ではなく「リキュール」と書かれている。
これが「フレーバードウイスキー」と呼ばれるお酒だ。名前はウイスキー、法律上の品目はリキュール。この一見ちぐはぐな立ち位置には、ちゃんとした理由がある。この記事では、フレーバードウイスキーとは何なのか、なぜ日本ではウイスキーとして表示されないのか、そして甘い一杯をどう選び、どう飲むと美味しいのかを整理する。
フレーバードウイスキーとは——「造ったあと」に足す酒
ウイスキーの香りの骨格は、造る過程で生まれる。大麦やトウモロコシといった原料、発酵で働く酵母、蒸留器の形、そして樽。バニラの甘い香りも、フルーティーな果実味も、後から足したものではなく、木と時間が引き出したものだ。
フレーバードウイスキーは、そこに一手間を加える。熟成を終えたウイスキーに、ハチミツや果実、スパイスなどの香味と甘みを合わせてから瓶詰めする。「造る過程で生まれた香り」ではなく「造ったあとに加えた風味」が主役である点が、決定的に違う。
本場アメリカでは、この種の酒に明確な規定がある。米国の酒類規制(27 CFR 5.151)が定めるのは「フレーバードスピリッツ」というウイスキーに限らない枠組みで、フレーバードウイスキーもここに入る。規格を満たしたベース酒に、飲用以外の天然香料やワイン、非アルコールの天然香味材料を加えたもの(砂糖の添加は任意)と定義され、アルコール分30%以上で瓶詰めすることが求められる。ラベルには「ベースとなる酒+主要な香り」を明記する決まりで、規則の中では「Cherry Vanilla Flavored Bourbon Whisky」といった例が挙げられている。
大事なのは、香りを加える前のベース酒が、きちんとその規格を満たしていなければならない点だ。つまり中身の土台は、正真正銘のバーボンやテネシーウイスキーである。
なぜ日本では「リキュール」と書かれているのか
一方、日本の酒税法では、これらは「ウイスキー」に分類されない。
日本の酒税法上のリキュールは、「酒類と糖類その他の物品を原料とした酒類で、エキス分が2度以上のもの」と定義されている。エキス分とは、蒸留酒には本来ほとんど残らない不揮発性の成分——糖分などのことだ。ハチミツや糖類を加えた製品はウイスキーの枠から外れ、エキス分が2度以上あればリキュールになる(2度に満たなければ「スピリッツ」と表示されることもある)。
だから輸入されたフレーバードウイスキーのラベルには、品目として「リキュール」と印字されているものが多い。これは品質の格付けでも「まがいもの」の印でもなく、あくまで分類上の線引きにすぎない。
もう一つ覚えておくと便利なのが度数だ。ウイスキーの標準が40%前後なのに対し、フレーバードウイスキーは35%前後のものが多い。数字だけ見れば控えめだが、甘さで飲みやすくなっている分、実際にはするすると進む。ここは後で触れる。
まず名前を挙げたい銘柄
このジャンルを一気に広めたのが、ジャックダニエルの「テネシーハニー」だ。2011年に登場し、看板商品であるオールドNo.7に自社製のハニーリキュールを合わせたもので、アルコール分は35%(70プルーフ)。ハチミツの甘さの奥に、ジャックダニエルらしい香ばしさが残る。

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