スコッチは、本場で買っても安くならない——日本と英国、一本にかかる酒税は280円と約2,000円
同じグレンフィディック12年が、英国の高級スーパーでは£44、日本では3,960円から。価格差5,500円のうち税で説明できるのはどこまでか。日英の酒税を一次資料の数字で分解し、スコットランドの最低単価規制まで確かめる。
英国のスーパーのサイトを開いて、見慣れた緑の三角瓶を探してみる。グレンフィディック12年、70cl。高級スーパーのウェイトローズで**£44.00**だった(2026年8月13日時点)。1ポンド215円前後という同じ時期の相場なら、9,400円ほどになる。
同じ日、日本の価格比較サイトでは、同じ700mlが3,960円から並んでいた(8店舗の最安値)。
高級スーパーの棚と国内の最安値を並べているので、この比べ方はいくらか日本に有利ではある。それでも、輸送の手間を余計に負っているはずの日本で、半分以下の値段で並んでいる。
なぜひっくり返るのか。答えの半分は、瓶の中身ではなく酒税にある。
まず、5,500円の差を分解してみる
£44と3,960円の差は、円に直して約5,500円。この内訳を数えていく。
日本側。国税庁の酒税率一覧表(令和5年10月1日〜令和8年9月30日)によれば、ウイスキー・ブランデー・スピリッツの税率は、アルコール分37度以上なら1キロリットルあたり370,000円に、37度を超える1度ごとに10,000円を加算する。40度なら400,000円/kl、700ml一本では280円だ。これに消費税が約360円。税は締めて640円、価格の16%にあたる。
英国側。GOV.UKが公表する現行税率では、22%を超える酒類は純アルコール1リットルあたり£33.99(2026年2月1日から適用)。40度・700mlに入っている純アルコールは0.28リットルだから、酒税は£9.52。さらに付加価値税(VAT)20%が£7.33。税は合わせて£16.85で、価格の38%を占める。
円に直すと、税だけで約3,000円ぶんの差だ。5,500円の価格差の、およそ半分。
裏を返せば、残りの半分は税では説明できない。税を全部はがしても、英国側の「素の値段」は5,800円ほど、日本側は3,300円ほど。ここは高級スーパーという店の性格や、輸入元の値付け、小売の競争環境が効く領域で、税の話ではない。
税は、価格差の全部を作ってはいない。ただ、どの店で買っても外せない下駄である点が、他の要素と違う。

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