
製法解説
Lincoln County Process
蒸留したての原酒を樽詰め前にサトウカエデの木炭でろ過・浸透させ、粗さを取り除きまろやかにするテネシーウイスキー特有の工程。
チャコールメロウイング(通称リンカーン・カウンティ・プロセス)は、テネシー州で蒸留された原酒を、樽詰めする前にサトウカエデ(シュガーメイプル)材から作った木炭の層に通す、またはじっくり浸す工程である。木炭自体は風味や甘みを一切加えず、あくまで多孔質の炭が原酒中の油分や雑味・トウモロコシ由来の粗い穀物臭を吸着して取り除く「引き算」の工程であり、これによって角の取れたまろやかな酒質が生まれる。 ジャック ダニエルは、敷地内でサトウカエデの角材を積み上げて燃やし、できた木炭を粉砕して豆粒大にしたものを深さ約3mの木炭槽に詰め、蒸留直後の原酒(約140プルーフ)をゆっくり滴下させて濾過する。一方ジョージ ディッケルは、より深い約4mの木炭槽を用い、原酒を華氏40度まで冷やしてから槽に満たすなど、細部の運用は蒸留所ごとに異なる。2013年にはテネシー州法により、「テネシーウイスキー」を名乗るにはこの工程を経ることが義務付けられた(一部の例外を除く)。バーボンとの製法上の主な違いはこの一工程にあり、テネシーウイスキーの穏やかで丸みのある個性の源となっている。