アイリッシュ大手グレートノーザン、青島ビールと組んで中国へ
アイルランドのグレートノーザン蒸留所が2026年7月30日、中国の青島ビールと長期協力契約を結んだ。熟成原酒の供給に加え、中国市場向けブレンドの開発と、青島側の蒸留所建設への技術支援まで含む。
アイルランドのグレートノーザン蒸留所が2026年7月30日、中国の青島ビールと長期の協力契約を結んだ。調印はダブリンで行われた。アイリッシュウイスキーの原酒供給にとどまらず、中国市場向けの製品開発と現地蒸留所の立ち上げ支援までを含む内容だ。
契約の中身
グレートノーザンは3年熟成から21年熟成までの原酒を供給し、青島ビールの流通網に乗せる。アジアの消費者に向けたラベルを共同で開発し、中国の嗜好に合わせた製品を作るためのブレンド専門チームも設ける。さらに、青島ビールが計画している中国国内のウイスキー蒸留所に対して、技術面の支援を行う。数量目標や契約金額は公表されていない。
会長のジョン・ティーリングは、アイリッシュウイスキーにとって次の大きな成長市場になるとの見通しを示した。調印には、地域開発などを担当するジェリー・バティマー閣外相も同席している。
グレートノーザンとは何者か
日本では名前を見る機会が少ないが、アイリッシュウイスキーの供給側では中核に位置する会社だ。2014年にジョン・ティーリング、ジム・フィン、デイビッド・ハインズが設立し、翌2015年に蒸留を開始した。ラウス県ダンドークの5.5ヘクタールの敷地に2つの蒸留所を構え、同社発表によれば年産能力はポットスチルで800万リットル、カラムスチルで1,200万リットル。60か国以上に原酒を出しており、資本は100%アイルランドだ。
自社ブランドを前面に出すより、他社の製品を裏側で支えるタイプの造り手である。なお、創業者ジョン・ティーリングの息子たちが立ち上げたティーリング・ウイスキー・カンパニーとは別会社だ。ティーリング・ウイスキーは2026年6月にバカルディの完全子会社となり、兄弟は戦略アドバイザーとして残っている。とはいえ両社が無縁というわけではなく、兄弟はグレートノーザン側の株主でもあると報じられてきた。名前が似ているため混同されやすい点は押さえておきたい。カラムスチルが担う役割については連続式蒸留にまとめている。
相手は世界有数のビール会社
青島ビールは1903年創業で、販売数量では世界6位級のビール会社だ。2025年のビール販売量は764.8万キロリットル、売上高は約40億ユーロ、純利益は5億7,400万ユーロ。製品は120か国以上に届いている。この規模の流通網にアイリッシュが乗ることの意味は小さくない。
日本の読者にとって直接の影響は薄いが、視点を変えると重要な話でもある。中国という巨大市場にどのカテゴリが先に食い込むかは、原酒の需給を通じて世界の価格に跳ね返る。スコッチが英印FTAでインド市場の関税障壁を下げたのと近い時期に、アイリッシュが中国で流通網を確保しにいった構図だ。蒸留所の設備や立地はグレートノーザン蒸留所、運営会社としての沿革はグレート・ノーザン・ディスティラリーのページで確認できる。
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