ウイスキーの「2本目」の選び方——動かす軸はひとつだけ。1本目を物差しにして選ぶ
最初の一本を飲み終えたあと、次の一本で迷う人へ。二本目の役割は「もっと高いものを飲むこと」ではなく、好みの輪郭をはっきりさせること。素性・樽・煙・度数という4つの軸のうち「狙って動かすのはひとつだけ」に絞る選び方を、一本目のタイプ別に整理する。
最初の一本は、誰もが慎重に選ぶ。産地を調べ、値段を見比べ、レビューを読む。ところが二本目は、なぜか雑になりやすい。売り場で「せっかくだから、もう少しいいものを」と値札の高いほうへ手が伸びるか、「これが美味しかったから」と、ほとんど同じ顔をした一本をもう一度買うか。
どちらも失敗ではない。ただ、二本目にしかできない仕事を取り逃がしている。二本目の役割は「もっと高いものを飲むこと」ではなく、自分の好みの輪郭を一段はっきりさせることだ。そしてそのためのやり方は、驚くほど単純である。一本目からずらす軸を、ひとつだけに絞る。
初めての一本を「産地・味・予算・飲み方」で選んだのなら、その一本はもう物差しになっている。二本目は、その物差しを捨てずに使う買い物だ。
なぜ「軸はひとつだけ」なのか
一本目がグレンフィディック12年で、二本目にいきなりカスクストレングスのアイラモルトを買ったとする。もし気に入らなかったとして、原因は煙なのか、度数なのか、樽なのか——何ひとつ分からない。結局、三本目もまた勘で選ぶことになる。
逆に、煙だけを足した一本を選べば、答えは絞られる。合わなければ「自分は煙が苦手」、面白ければ「煙は行ける」。一回の買い物で、分かることが一つ増える。これが二本目のいちばん効率のいい使い方だ。
二本目で動かせる軸は、大きく四つに整理できる。
- 素性——ブレンデッドかシングルモルトか、スコッチかバーボンか。原料と産地と構成をまとめた、いちばん外側の軸。
- 樽——バニラを与えるバーボン樽か、ドライフルーツを与えるシェリー樽か。
- 煙——ピートを焚いているかどうか。好き嫌いがはっきり割れる軸。
- 度数——40%と46%とでは、同じ一杯でも香りの密度と刺激が変わる。
ひとつ、先に断っておきたいことがある。この四つを完全に切り分けることはできない。度数は銘柄ごとにあらかじめ決まっていて——スコッチの定番は40%から46%あたりが多く、バーボンには50%を超えるものもある——こちらの都合では固定できないし、煙の強い銘柄は産地も一緒に変わる。数ポイントの度数差は誤差として飲み込んだうえで、狙って動かす軸をひとつに決める——そう読み替えてほしい。
以下、一本目のタイプ別に「次はどこを動かすか」を具体的に見ていこう。
一本目が角瓶やブラックニッカだったら
家のハイボールから入った人の一本目は、たいていブレンデッドだ。ここは素性の軸を、小さく動かすか大きく動かすかの二択になる。
小さく動かすなら、ブレンデッドのままスコットランドの一本へ移る。デュワーズ ホワイトラベルは日本のハイボール売り場でおなじみの顔だが、れっきとしたスコッチで、角瓶とは甘さの質が違う。度数も構成も飲み方も変えずに、産地だけを一段ずらせる。値段の帯もほぼ同じなので、手頃な価格帯から動きたくない人には、いちばん軽い一歩になる。

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