ロブロイの作り方——「スコッチ版マンハッタン」を家で美味しく作る、黄金比・ステア・ベース選び
マンハッタンのベースをスコッチに替えた古典カクテル「ロブロイ」。スコッチ・スイートベルモット・ビターズだけで作れる一杯を、黄金比・ステアのコツ・ドライ/パーフェクトの違い・ベース選びまで解説します。
バーのメニューでよく見かける「ロブロイ」。名前だけ聞くとハードルが高そうだが、その正体はマンハッタンのベースをスコッチに替えただけの、材料3つで作れる古典カクテルだ。ステアして注ぐだけなので、シェイカーが無くても家で十分に美味しく作れる。この記事では、ロブロイという名前の由来から、基本のレシピと作り方、「ドライ」「パーフェクト」の違い、そしてベースのスコッチの選び方までを整理する。
「スコッチ版マンハッタン」という素性
ロブロイは、ライ(またはバーボン)で作るマンハッタンの土台を、スコッチウイスキーに置き換えたカクテルだ。誕生には諸説あるが、よく知られるのは1894年、ニューヨークの名門ホテルウォルドルフ(のちのウォルドルフ=アストリア)で生まれたという説である。同じ年に初演されたオペレッタ『ロブ・ロイ』(作曲レジナルド・デ・コーヴェン、作詞ハリー・B・スミス)にちなんで名づけられたと伝わる。
その『ロブ・ロイ』が題材にしたのが、18世紀初頭のスコットランドで名を馳せた無法者にして義賊、ロブ・ロイ・マグレガーだ。ウォルター・スコットの小説でも描かれた国民的英雄で、「スコットランドの英雄に一杯を捧げるなら、酒もスコッチでなければ」という洒落が、ライではなくスコッチを使う理由になった——というわけである。
ただし起源には異説もある。カクテル史家のデイヴィッド・ワンドリッチは、ニュージャージー州ホーボーケンのバーが発祥だとする説を挙げているし、そもそも「スコッチで作るマンハッタン」自体は、名前がつく以前の19世紀の酒場ガイドにも見える。名前が広まったのがウォルドルフだった、と考えるのが穏当だろう。
基本のレシピと作り方
材料はマンハッタンとほとんど同じで、ベースがスコッチになるだけだ。
- スコッチウイスキー 45ml
- スイートベルモット 20〜25ml(およそ2:1)
- アンゴスチュラビターズ 1〜2ダッシュ
- マラスキーノチェリー(飾り用)
- 氷
作り方は、ミキシンググラス(無ければ深めのグラス)に氷をたっぷり入れ、スコッチ・スイートベルモット・ビターズを注いで、冷えて一体になるまで20〜30回ほどステアする(かき混ぜる)。それを氷を漉しながら、あらかじめ冷やしておいたカクテルグラスに注ぎ、チェリーを沈めれば完成だ。氷は入れず、冷えた状態で素早く飲みきるのが、このタイプのカクテルの流儀になる。
なぜシェイクせず「ステア」するのか
ロブロイやマンハッタンのように、ウイスキーとベルモットだけで果汁や卵白を使わないカクテルは、シェイクではなくステアで作るのが基本だ。シェイクすると空気と細かな気泡が混ざって液体が濁り、口当たりも変わってしまう。かき混ぜるだけなら、澄んだ見た目ととろりと滑らかな舌触りが保てる。混ぜる目的は「冷やすこと」と「適度に加水すること」で、氷が少し溶けて角がとれるくらいがちょうどいい。
飾りのチェリーは甘さと華やかさを添える定番だが、後述のパーフェクトではレモンピールを使う。柑橘の皮を軽く絞れば、香りが引き締まって印象がぐっと大人びる。
「スイート」「ドライ」「パーフェクト」——三つの顔
ロブロイは、使うベルモットで三つの表情に分かれる。
- (スイート)ロブロイ:スイートベルモットで作る標準形。単に「ロブロイ」と頼めばこれが出てくる。甘くほろ苦い王道の味。
- ドライ・ロブロイ:スイートを辛口のドライベルモットに替えたもの。甘みが引いて、よりシャープで乾いた味わいになる。
- パーフェクト・ロブロイ:スイートとドライを半々で使う。甘辛のバランスがとれた中間型で、仕上げはチェリーではなくレモンピールを添えるのが定番だ。
まずは標準のスイートで作り、「もう少し甘さを抑えたい」と思ったらドライやパーフェクトへ——と試すと、自分の好みが見つけやすい。
ベースのスコッチはどう選ぶ
主役がスコッチだけに、ベース選びで一杯の性格が決まる。とはいえ高価なボトルである必要はなく、ベルモットやビターズと混ざるぶん、手頃でクセが穏やかなブレンデッドスコッチがむしろ向く。まず試したいのは、軽やかで飲み飽きしない定番だ。

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