ニッカウヰスキーの種類と選び方——ブラックニッカ・フロム・ザ・バレル・竹鶴・余市・宮城峡、価格の「段」で分かる最初の一本
1,000円台のブラックニッカから、7,700円で横並びになる竹鶴・余市・宮城峡まで。ニッカのラインナップは値段の段がそのまま「中身の段」になっている。定番各本の度数・味の方向と、最初の一本の決め方を整理する。
スーパーやコンビニの棚に、「ニッカ」の文字はいくつも並んでいる。1,000円ほどのブラックニッカから、3万円近い限定品まで。同じ会社の酒なのに、どうしてこれほど幅があるのか。そして自分はどれを買えばいいのか。
ばらばらに見えるニッカのラインナップは、実はきれいな段になっている。しかもその段は、値段の段であると同時に「中身の段」でもある。そこを補助線にして、全体像を整理していきたい。
なお以下はいずれもメーカー参考小売価格(税込)で、ブラックニッカから余市10年までは2024年4月改定後の価格、フロンティア以降は発売時の設定価格。実際の店頭価格はこれより上下する。
まず、国内のモルト蒸溜所は二つだけ
ニッカが国内に持つモルト蒸溜所は、北海道の余市蒸溜所と仙台の宮城峡蒸溜所の二つ。加えてスコットランドのベン・ネヴィス蒸溜所も所有している。
余市は、いまや世界でも数えるほどしか残っていない石炭直火蒸溜を続けている。炎でポットスチルを直接あぶるこの方式は、香ばしく力強い、ややスモーキーな酒質を生む。
宮城峡はその対極にある。蒸気による間接加熱と、ふくらみのある胴を持つスチルから生まれるのは、りんごや洋なしを思わせる華やかな一杯だ。
この二つの個性をどう配合するかが、ニッカのモルト系銘柄の性格を決めている。
価格の段は、中身の段でもある
ここが、ニッカを読むうえで一番効く話だと思う。
ニッカの商品のうち、日本洋酒酒造組合が2021年に定めた「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」に適合するのは、竹鶴・シングルモルト余市・シングルモルト宮城峡・カフェグレーンに限られる。ブラックニッカやセッションなどそれ以外の銘柄は、原酒の産地や度数といった要件を満たしていない(アサヒビールは商品ごとに適合の有無を公表している)。
つまり下の段は「世界中の原酒を使って、日々飲むために整えた酒」。上の段になると「余市と宮城峡だけでできた酒」に変わる。財布の話だと思っていた階段が、そのまま中身の階段だったわけだ。
1,000〜2,000円——毎日の一杯はブラックニッカから
ニッカの土台を支えているのがブラックニッカ。定番は三本ある。
クリア(37%・1,089円)はノンピートのモルトを使い、クセを削ぎ落とした一本。ハイボールにしても主張しすぎず、ウイスキーの苦みや煙が苦手な人の入口として選ばれることが多い。
リッチブレンド(40%・1,606円)はシェリー樽で熟成した原酒を使い、甘く華やかな香りが立つ。同じブラックニッカでも、こちらは「香りを楽しむ」側だ。
ディープブレンド(45%・1,815円)は度数がぐっと上がり、重厚な甘さとコクが出てくる。濃いめのハイボールにしても味が痩せない。三本のなかでは一番飲みごたえがある。
このほか、39%のハイニッカ(1,452円)も長く続く定番だ。なおブラックニッカ各種とハイニッカは追加の価格改定が発表されたのち延期されており、実施時期は未定になっている。

このコラムの関連
関連するボトル

次に読む

ウイスキーは炭酸以外の何で割ると美味しいのか——牛乳・紅茶・コーヒー・果汁・ビール、5つの割り材と黄金比
ハイボール一択になりがちなウイスキー。だが牛乳、紅茶、コーヒー、果汁、ビールと、割り材を変えるだけで一杯は別の酒になる。それぞれの黄金比と向く銘柄、そして「合う割り材」を自分で見当づける物差しを整理する。

ジムビームの種類と選び方——ホワイト・ブラック7年・デビルズカット・ダブルオーク、味の違いと最初の一本
スーパーで最も見かけるバーボン、ジムビーム。白ラベル、7年熟成のブラック、デビルズカット、ダブルオーク、甘い2本、そして缶まで。熟成・樽・度数の三つで分かれる違いと、用途別の「最初の一本」を整理する。

ワイルドターキーの種類と選び方——スタンダード・101・8年・12年・レアブリード、味の違いと最初の一本
日本で「普通のターキー」はどれ?正規流通のスタンダード・101・8年・12年に、レアブリードやライまで加えて、熟成年数と度数という二つの軸と希望小売価格でラインナップを整理し、飲み方別に選べるようにする。












