Michter's
起源を1753年にさかのぼる、アメリカ最古級の系譜を継ぐ名門である。前身はスイス系メノナイトのジョン・シェンクがペンシルベニア州シェファーズタウンで興したライ蒸留所で、のちにボンバーガーズと呼ばれた。「ミクターズ」の名は、オーナーのルー・フォーマンが息子マイケルとピーターの名を組み合わせて作ったもの。禁酒法後の紆余曲折を経て操業を止めたが、1990年代にジョセフ・マグリオッコが商標をわずか245ドルで取得し、名匠ディック・ニューマンとともに復活させた。生産をバーボンの中心地ケンタッキーへ移し、樽をトーストしてから焦がす独自の手法などで「世界で最も称賛されるウイスキー」と評される品質を築いた。
ミクターズは品質へのこだわりで知られ、樽ごとの管理を徹底する。象徴的なのは、樽をまずトースト(低温で炙る)してから焦がす(チャー)独自の手法で、これが香味に深みと複雑さを与える。低い樽詰め度数、独自の熟成庫管理、丁寧な少量生産を貫き、バーボン・ライ・アメリカンウイスキーを手がける。手間を惜しまぬ姿勢が、際立った品質を生む。
ミクターズの起源は、1753年にスイス系メノナイトの農夫ジョン・シェンクがペンシルベニア州シェファーズタウンで興したライ蒸留所にさかのぼる。当初シェンクズ、のちに買収者にちなみボンバーガーズと呼ばれた。禁酒法期に幾度も所有者が変わったのち、ルー・フォーマンが息子マイケルとピーターの名を組み合わせて「ミクターズ」と名づけた。20世紀末に操業を止めたが、1990年代にジョセフ・J・マグリオッコが放棄された商標を245ドルで取得し、師で名匠のディック・ニューマンとともにケンタッキーで復活させた。
現在の生産はケンタッキー州ルイビルのシャイブリー蒸留所と、スプリングフィールドの145エーカーの自社農場で行われる。ルイビルには1890年築の歴史的なフォート・ネルソン館があり、長い修復を経て2019年に一般公開された。ケンタッキーの石灰岩水に恵まれた立地が、良質な仕込み水を供給する。
定番の「ミクターズ US★1 ケンタッキー ストレート バーボン」「US★1 シングルバレル ライ」を核に、長期熟成の「10年 バーボン」「20年 バーボン」、そして最高峰の「セレブレーション」を擁する。「世界で最も称賛されるウイスキー」と評され、オークションでも高値で取引される憧れの銘柄だ。

この蒸留所が属する地域
トウモロコシを主原料とするバーボンウイスキーの本場。原料の51%以上がトウモロコシで、内側を焦がした新樽で熟成させることが法律上の条件となっている。ケンタッキー州が生産の中心地で、テネシー州のジャックダニエルズは木炭濾過(チャコール・メローイング)を経る独自製法「テネシーウイスキー」を名乗る。近年は小規模クラフト蒸留所が全米で急増している。
アメリカを深掘りする →地理ではなく味わいで繋がる、別の産地の蒸留所。