
USA
トウモロコシを主原料とするバーボンウイスキーの本場。原料の51%以上がトウモロコシで、内側を焦がした新樽で熟成させることが法律上の条件となっている。ケンタッキー州が生産の中心地で、テネシー州のジャックダニエルズは木炭濾過(チャコール・メローイング)を経る独自製法「テネシーウイスキー」を名乗る。近年は小規模クラフト蒸留所が全米で急増している。
独立戦争後にケンタッキーへ移住したスコットランド・アイルランド系移民が、余剰のトウモロコシを蒸留したのが起源とされる。石灰岩層に濾過された鉄分の少ない水と、良質な白樫材に恵まれた土地柄が蒸留に適していた。1964年5月4日、米議会はバーボンを「アメリカ独自の産物」と定める決議を採択し、スコッチやフランスのシャンパンと同様に法的な原産地保護を与えた。禁酒法(1920〜1933年)では大半の蒸留所が閉鎖に追い込まれる壊滅的打撃を受けたが、戦後に復興し、2010年代以降は全米でクラフト蒸留所が急増している。
トウモロコシを主体にライ麦・小麦・大麦麦芽をブレンドしたマッシュビルを使う。ケンタッキー州は石灰岩層を通ることで鉄分が取り除かれ、逆にカルシウムやマグネシウムが溶け込んだ水に恵まれ、発酵時の酵母の働きを助けるとされる。内側を焦がした新樽での熟成に適した寒暖差の大きい気候も特徴で、テネシー州ではさらに木炭濾過(チャコール・メローイング)の工程を加える。
新樽熟成由来のバニラ・カラメルの甘みと、トウモロコシ由来のふくよかな穀物香が特徴。ライ麦比率が高いものはスパイシーさが際立ち、ライウイスキーとして区別されることも多い。
バーボンの中心地ケンタッキーには、バッファロートレース、メーカーズマーク、ワイルドターキー、フォアローゼズ、ヘヴンヒル、ウッドフォードリザーブ、ジムビームといった名門が集中する。2009年に20未満だった州内の蒸留所は2025年には100を超え、クラフトの活況が続く。テネシー州では木炭濾過を経るジャックダニエルがテネシーウイスキーを代表する。



A. Smith Bowman Distillery
バージニア

FEW Spirits
イリノイ ・ 2011年

MGP Ingredients
インディアナ

Widow Jane
ニューヨーク

Wilderness Trail
ケンタッキー

Willett
ケンタッキー ・ 1936年

Westland
ワシントン ・ 2010年

Woodinville Distillery
ワシントン

Woodford Reserve
ケンタッキー ・ 1812年

Angel's Envy
ケンタッキー ・ 2016年

Old Forester
ケンタッキー ・ 1870年

Catoctin Creek
バージニア ・ 2009年

バーボンのラベルに躍る「100プルーフ」という表示。アルコール度数のことらしいが、なぜ「%」ではなく謎めいた数字なのか。そして数字が度数のちょうど2倍になるのはなぜか。黒色火薬で酒の強さを試した時代から、英米で分かれた計算方式まで、ラベルの数字に刻まれた歴史を読み解く。

競馬の祭典ダービーの公式カクテル、ミントジュレップ。バーボン・ミント・クラッシュアイスで作る夏の定番を、黄金比と手順、つまずきやすい「ミントの潰しすぎ」のコツ、ベースのバーボン選びまで解説します。

禁酒法は道徳の暴走として語られがちだが、1919年というタイミングを決めたのは連邦財政だった。歳入の3分の1を占めた酒税と、1913年に用意された所得税、そしてアメリカンウイスキーが失ったもの。

酒が憲法で禁じられた禁酒法の13年間、ウイスキーを合法的に手に入れる道がひとつだけあった——医師の処方箋を持って薬局へ行くことだ。「酒=薬」という古い信仰、処方箋一枚で買えた一パイント、そして薬局チェーンと蒸留所を潤した「例外」まで、禁じることの難しさを読み解く。