
WHY THIS TASTE
それまでの年数表記品に代わり、2015年9月1日に発売されたノンエイジのシングルモルト。ストレートヘッド型ポットスチルと石炭直火蒸溜が生む重厚で香ばしい原酒のうち、ヘビーピートタイプの原酒を骨格に据え、新樽熟成モルトとシェリー樽熟成モルトを組み合わせて、しっかりしたボディとウッディな樽香を加える設計。ニッカは深く広がるピート香とスモーキーな余韻、潮を思わせる塩気をこのボトルの個性に挙げる。45度。

この味を生む蒸留所
余市蒸溜所北海道余市町に立つ、ニッカウヰスキー発祥の蒸溜所である。1934年、「日本ウイスキーの父」竹鶴政孝が創業した。竹鶴は理想のウイスキー造りの地を求め、スコットランドに似た気候、豊かな水、澄んだ空気を持つこの地にたどり着いた。良質な大麦と、スモーキーな風味を生むピート(草炭)が豊富に採れることも決め手となった。最大の特徴は、今や世界でも稀となった「石炭直火蒸溜」。石炭をくべて直接スチルを熱するこの製法は、力強く重厚な酒質を生む。90年にわたり受け継がれてきた「竹鶴の火」だ。事務所棟など10棟が国の重要文化財に指定されている、日本ウイスキー史の聖地である。
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余市Yoichi
ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝が1934年に北海道余市町に開いた余市蒸溜所のシングルモルト。スコットランドに似た冷涼な気候と良質な水を求めてこの地を選んだとされる。現在も世界的に珍しい石炭直火蒸溜を守り続けており、力強くコクのある重厚な味わいが特徴。蒸溜所内の9棟が国の登録有形文化財に指定されるなど、歴史的価値も高い。
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日本にもアイラのような煙のウイスキーはあるのか。白州・嘉之助・余市・厚岸・三郎丸の5蒸溜所を、煙のおだやかなものから濃いものへ。ppmの読み方と「ジャパニーズ」表示の確かめ方、飲み方のコツまで。

山崎も余市も「蒸溜所」と書くのに、法律や新聞は「蒸留」。同じ言葉に二つの字があるのは、戦後の国語政策で「溜」が使える漢字から外れたからだ。字の意味、表記が分かれた経緯、どちらが正しいのかを解説する。

森の白州と海の余市。この対比は有名だが、設備表を並べると別の姿が見えてくる。どちらも初留は直火。分かれ道は蒸溜器・発酵槽・冷却・麦芽の四つで、要は「幅をどこで作るか」の置き場所が違った。

蒸溜所の紹介はたいてい「水」から始まる。だがその水を守る仕事は敷地の外、山の中で動いている。原則30年・長いもので100年という森の協定、地下水が届くまでの年月、そして王冠のコルク不足から買われた山の話。

12年物のラベルの数字は、熟成年数であると同時に日付でもある。仕込みの判断と結果の確認が十年以上ずれる産業を、1962年にグラスゴーの在庫係として入った男と、設立から6年しのいだ会社からたどる。

米も酒も配給へ向かっていた戦時下、山崎と余市のスチルは止まらなかった。ウイスキーが軍需品に指定されていたからである。英国海軍を手本にした日本海軍の嗜好、寿屋が納めた「イカリ印」、缶に詰めて北の戦場へ送られた余市の一杯。そして残った樽が、戦後の再出発を支えた話。