WHY THIS TASTE
スコットランド最古とされる六条大麦の在来種「ベア(Bere)」を使う実験的表現。2005年からハイランド・アンド・アイランズ大学アグロノミー研究所と進める復活栽培プロジェクトの成果で、低収量ゆえ生産量は限られる。ノンピート、バーボン樽主体で熟成、50度。

この味を生む蒸留所
ブルイックラディ蒸留所ラン半島、インダール湾の対岸に建つブルックラディは「進歩主義者(Progressive)」を名乗る異端児だ。1881年にハーヴェイ三兄弟が創業。長い低迷を経て2001年、マーク・レニエと伝説の職人ジム・マッケュワンらの手で劇的に再興し、2012年からレミー・コアントロー傘下にある。ヴィクトリア朝の古い設備をあえて使い続け、島内での瓶詰めにこだわり、大麦の産地や畑まで問う「テロワール」思想を掲げる姿勢は、スコッチの常識に挑み続けてきた。ノンピートで海の潮を感じさせる看板のラディ、力強くスモーキーなポート・シャーロット、そして世界最高峰のフェノール値を叩き出すオクトモア——一つの蒸留所が三つの人格を持つ。伝統への敬意と革新への渇望が同居する、アイラで最も饒舌な蒸留所である。
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ブルイックラディBruichladdich
1881年、ハーヴェイ兄弟がアイラ島リンズ地区ロッホ・インダール湖畔に設立した蒸溜所。1994年に一時閉鎖されたが、2000年にマーク・レイニアら投資家グループが買収し2001年に再稼働。ノンピートの「ブルイックラディ」、重ピートの「ポート・シャーロット」、超重ピートの「オクトモア」と3種の異なるスタイルを造り分ける。2012年よりレミー・コアントロー傘下で、アイラ島最大の民間雇用主でもある。
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ワインの言葉「テロワール」がなぜ今ウイスキーで語られるのか。「蒸留すれば土地の個性は消える」という常識に挑むウォーターフォードやブルックラディ、そして2021年の査読論文が示した「産地は香りに残る」という答えを読み解く。

ワインならブドウの品種が味を大きく左右する。ではウイスキーの大麦は? 業界では長らく「品種より収量」とされ、風味への影響は小さいと考えられてきた。だが近年、その常識に挑む蒸留所と科学研究が現れた。ゴールデンプロミス神話とテロワール論争から読み解く。