ミントジュレップの作り方——ケンタッキーダービーの「銀カップの一杯」を家で美味しく作る、黄金比・ミント・ベース選び
競馬の祭典ダービーの公式カクテル、ミントジュレップ。バーボン・ミント・クラッシュアイスで作る夏の定番を、黄金比と手順、つまずきやすい「ミントの潰しすぎ」のコツ、ベースのバーボン選びまで解説します。
夏の盛り、汗ばむ夕方に似合うウイスキーカクテルがある。銀色のカップにびっしりと霜が張り、砕いた氷の山からミントの束が飛び出す——ミントジュレップだ。アメリカ競馬の祭典「ケンタッキーダービー」の公式カクテルとして知られ、南部の夏を象徴する一杯でもある。名前は聞いたことがあっても、作り方となると意外に知られていない。この記事では、ミントジュレップの成り立ちと、家庭で美味しく作るための黄金比・手順・つまずきやすいコツ、そしてベースに選ぶバーボンの考え方までを、順を追って紹介する。
ミントジュレップとは——ダービーの銀カップの一杯
ミントジュレップは、バーボン・砂糖(またはシロップ)・ミント・クラッシュアイスだけで作る、シンプルなカクテルだ。「ジュレップ」という言葉の語源は、ペルシャ語で「バラ水」を意味する gulāb(グラーブ)にさかのぼるとされ、もともとは薬用の甘い水だった。18世紀の植民地時代アメリカでは、ブランデーやラムにミントと甘味を合わせた朝の気付け薬として親しまれ、19世紀にケンタッキーの人々が地元のバーボンに置き換えたことで、いまの姿になったといわれる。
ケンタッキーダービーとの結びつきは深い。20世紀の1930年代に公式ドリンクとなり、記念のジュレップカップに注いで供されるようになった。いまでもダービー開催の週末には、2日間で約12万杯ものミントジュレップが振る舞われる。使われるバーボンは1万本以上、ミントは約1トン、氷は200トン以上というから、その熱狂ぶりがうかがえる。ダービーの公式バーボンはウッドフォードリザーブで、慈善プログラムとして高額なジュレップも登場する。
材料と黄金比
1杯分の基本の配合はこうだ。
- バーボン……60ml
- 砂糖……小さじ2、またはシュガーシロップ(ガムシロップ)……15ml前後
- ミントの葉……10〜15枚(飾り用に枝も別途)
- クラッシュアイス……カップいっぱい
砂糖をそのまま使うと溶け残りやすいので、あらかじめ水少量で溶かすか、シュガーシロップを使うと失敗しにくい。ミントはスペアミント系が本場の定番。金属製のカップがあれば霜のつき方が美しいが、なければ背の低いグラスでも十分に楽しめる。
作り方の手順
- カップにミントの葉と砂糖(またはシロップ)を入れ、軽く押しつぶして香りを移す。
- クラッシュアイスをカップの半分ほどまで入れる。
- バーボンを注ぐ。
- バースプーンで、カップの外側に霜がつくまで手早くステアする。
- 溶けて目減りした分、クラッシュアイスを山盛りに足す。
- ミントの枝を飾り、短めのストローを挿して完成。
ポイントは、飲むときに鼻先がミントに触れるよう、ストローを短く切ること。香りごと味わうのがこのカクテルの醍醐味だ。作り置きはせず、飲む直前に仕上げる。
つまずきやすい「潰しすぎ」の落とし穴
ミントジュレップで最も意見が割れるのが、ミントの扱いだ。葉を潰して香りを立たせたい一方で、力を入れて潰しすぎると、葉緑素などの成分が溶け出して、青臭く苦い一杯になってしまう。本場ケンタッキーでも「軽く潰す派」と「潰さず香りを移すだけ派」に分かれるほどで、正解は一つではない。
家庭で失敗しないコツは、すりつぶすのではなく、数回そっと押して香りを移す程度にとどめること。心配なら、香りを移したあとの葉を取り除いてからバーボンを注いでもよい。ミントは主役ではなく、あくまでバーボンの香りを引き立てる名脇役、と考えると力加減がつかみやすい。
ベースのバーボン選び
ミントジュレップはバーボンの個性がそのまま出る。まろやかで飲みやすい一杯にしたいなら、原料に小麦を使ったやわらかな口当たりのメーカーズマークが好相性だ。

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