マルスウイスキーの種類と選び方——岩井トラディションから駒ヶ岳・津貫まで、「品目」欄で分かる二つの棚
岩井トラディション、ツインアルプス、3&7、越百、そして駒ヶ岳・津貫のシングルモルト。本坊酒造のマルスウイスキーを、公式の「品目」と「原料原産地」で二つの棚に分け、値段と味の違いから選び方を整理する。
ウイスキーの棚で、「マルス」の名前は意外なほどいろいろな場所に出てくる。2,000円台の「岩井トラディション」や「ツインアルプス」、化粧箱入りの「越百」、そして「駒ヶ岳」と「津貫」のシングルモルト。どれも鹿児島の本坊酒造の銘柄だが、値段も中身もかなり違う。
この記事では、本坊酒造がいま通年で出しているマルスウイスキーを並べて、どれが何で、どう選べばいいかを整理する。手がかりにするのは、公式サイトの商品データにある「品目」と「原料原産地」の欄だ。ここを読むだけで、ラインナップの全体像がかなりはっきりする。
まず押さえたい「二つの棚」
本坊酒造の公式サイトを見ると、品目が**「ウイスキー」の商品と「ジャパニーズウイスキー」**の商品に分かれている。
前者の岩井トラディション、ツインアルプス、3&7、越百は、原料原産地の欄に「英国製造」と書かれている。英国(3&7は米国も)で造られた原酒に、国内製造の原酒を合わせているということだ。国内分は、ブレンデッドの3本ではグレーン、越百ではモルトと表示されている。後者の駒ヶ岳と津貫のシングルモルトは「国内製造(モルトウイスキー)」で、品目も「ジャパニーズウイスキー」になっている。
日本洋酒酒造組合の自主基準では、「ジャパニーズウイスキー」と表示できるのは、日本国内で糖化・発酵・蒸溜し、国内で3年以上貯蔵し、国内で瓶詰めしたものなどに限られる。基準は2021年に定められ、経過措置を経て2024年4月から全面的に適用されている(詳しくは本物のジャパニーズウイスキーの見分け方)。
これは優劣の話ではない。輸入原酒を使うことで、手頃な値段と安定した味が成り立っている。ただ、「信州や鹿児島で造った原酒そのものを飲みたい」のか、「マルスのブレンドを気軽に楽しみたい」のかで、選ぶ棚が変わる。
日常の一本:岩井トラディション・ツインアルプス・3&7
最初の棚は、いずれもアルコール度数40%のブレンデッド(モルトとグレーンを合わせたもの)。ハイボールや水割りに惜しみなく使える価格帯だ。
岩井トラディション(750ml、希望小売価格2,420円)は、この棚でいちばん上の価格帯にある。名前の由来は岩井喜一郎。本坊酒造の顧問としてウイスキー工場の設計と製造指導にあたった人物で、竹鶴政孝をスコットランドへ送り出したことでも知られる。公式は「口当たりは優しく、柔らかいがボディーがしっかり」と説明している。ただし公式サイトでは「販売店限定」の扱いで、どこの酒屋にも並んでいるわけではない。見かけたら手に取ってみたい一本だ。
ツインアルプス(750ml、2,068円)は、蒸溜所を挟む中央アルプスと南アルプスから名付けられた。公式の言葉では「樽香をきかせたウッディな香り」に、飲みやすさと「しっかりとしたコク」を併せ持つブレンドだ。200mlの小瓶(990円)もあるので、試しに一本、という使い方がしやすい。
このコラムの関連
関連するボトル

次に読む

白州と駒ヶ岳は何が違うのか——同じ「駒ヶ岳」の麓に建つ二つの山の蒸溜所、16基と2基で分かれた道
甲斐駒ヶ岳の麓の白州と、木曽駒ヶ岳の麓のマルス駒ヶ岳。花崗岩の軟水、木の発酵槽とよく似た二つの山の蒸溜所は、規模・加熱・冷却・樽と熟成地で分かれた。設備から味の違いと選び方を整理する。

スペイサイドとハイランドの違い——スペイサイドは「ハイランドの中の産地」。グレンファークラスが「ハイランド」を名乗る理由と、味の傾向で選ぶ
スペイサイドとハイランドは並び立つ産地ではなく、ハイランドの中にスペイサイドの枠がある関係だ。スコッチウイスキー規則の線引き、ハイランドを名乗るスペイサイドの蒸溜所、味の傾向の違いと選び方を整理する。







