
WHY THIS TASTE
アメリカンオークのファーストフィルバーボン樽のみで10年熟成。麦芽はフェノール値約45ppmのヘビーピート仕様で、一部は蒸留所内の伝統的なフロアモルティングでも作られる。ヨードや「正露丸」にも例えられる強烈な薬品香と潮の香りが際立ち、正規品は43度(並行輸入品は40度)。クォーターカスクやセレクトなど他ボトルの原酒構成の基準となる定番シングルモルト。

この味を生む蒸留所
ラフロイグ蒸留所「好きか、嫌いか」——ラフロイグほど意見を二分するモルトはない。1815年、アレックスとドナルドのジョンストン兄弟が創業。キルブライド貯水池から引くピートを通った水が、ヨード、海藻、そして正露丸と評される強烈な薬品香の源となる。いまも一部にフロアモルティング(自家製の床式製麦)を守り、島のピートを自ら焚く姿勢が、その揺るぎない個性を支えている。英国王室の御用達(かつてのチャールズ皇太子が愛したことで知られる)という格式を持ちながら、味わいはどこまでも野趣に満ちる。潮としぶきをそのまま舐めるような一杯は、初心者を突き放し、愛好家を離さない。現在はビーム サントリーの傘下。アイラの薬品香を語るとき、その中心には常にこの名がある。
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ラフロイグLaphroaig
スコットランド・アイラ島南岸に位置する蒸溜所のシングルモルト。1815年、ジョンストン兄弟により創業。医薬品的とも評される強烈なピート香とヨードやスモークの風味が特徴で、アイラモルトの中でも個性が際立つ。1994年には英国皇太子の御用達(ロイヤルワラント)を受けた。現在はサントリーグループ傘下で製造される。
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「そのうち分かるようになる」と言われる。だが研究を並べると、薄さに気づく感度では専門家と初心者に差がつかない。1,200時間を積んだソムリエ学生も、嗅覚テストの点は動かなかった。伸びるのは、別の層だ。

濡れた段ボールのようなにおい。ワインで「ブショネ」と呼ばれる現象の原因物質TCAは、水1,000トンに1ミリグラムの濃度で香りの評価を押し下げる。ニュージーランドは栓を替え、ウイスキーはコルクを守る道を選んだ。

「フィニッシュ:長い」——テイスティングノートの最後の一行は、何秒のことなのか。ワインが1秒を1カウダリーと数えるのに対し、ウイスキーは目盛りを作らなかった。口の中で余韻を支えている成分の正体をたどる。

同じメーカーがレモンの有無で別レシピを立て、サントリーは果汁、デュワーズは皮を指定する。レモンの香りは皮の油胞にあり、酸は果汁にある。皮・果汁・実の三つに分けて考えると、ハイボールのレモンは使い分けられる。

ウイスキーグラスは食洗機に入れていいのか。グラスメーカーは「洗える」と言い、洗剤メーカーは「クリスタルガラスは使えない」と書く。食い違いを解くと、条件と日本の水質という論点が出てくる。

三か月のつもりでアイラ島へ渡った臨時タイピストが、雇い主の遺言で蒸溜所の会社を受け取った。戦時は弾薬庫を守り、のちに業界の広報役として北米を回り、そして自ら株を手放したベッシー・ウィリアムソン。20世紀のスコッチで「唯一」とも「初」とも紹介される女性蒸溜所主の38年をたどる。