
WHY THIS TASTE
12年熟成の原酒を加水せずカスクストレングスで瓶詰めするバッチ物で、樽構成も度数もバッチごとに変わる。2025年のリリースではバーボン樽60%・シェリー樽35%・ラム樽5%で55.9度のものと、バーボン樽100%で55.5度のものが出ている。ノンチルフィルター・無着色。加水して46度に落とす10年に対し、度数の高さぶん熱帯果実の甘みとピートの煙が濃く前に出るのが持ち味で、同じ12年表記でもバッチ番号で中身が変わる点が前提の一本。

この味を生む蒸留所
スプリングバンク蒸留所スコットランド、キャンベルタウンに立つ、同地に残る数少ない蒸留所の一つである。1828年に免許を得て、レイド兄弟が創業。1837年にジョン&ウィリアム・ミッチェル兄弟が取得し、以来ミッチェル家がJ&Aミッチェル社として今も一族経営を続ける。最大の特徴は、大麦の製麦から瓶詰めまで、ウイスキー造りの全工程を自社の敷地内で行うスコットランド唯一の蒸留所である点だ。1992年にはフロアモルティングを復活させた。造る原酒は3種——2.5回蒸留のミディアム・ピート『スプリングバンク』、2回蒸留のヘビー・ピート『ロングロウ』、3回蒸留のライト・ピート『ヘーゼルバーン』。手仕事を貫く、キャンベルタウンの至宝だ。
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スプリングバンクSpringbank
スコットランド・キャンベルタウンにある1828年創業の家族経営蒸溜所で、J&A ミッチェルが所有する。かつて30以上の蒸溜所があったキャンベルタウンで今も稼働を続ける数少ない蒸溜所の一つ。製麦から瓶詰めまで全工程を自社で行う唯一のスコットランド蒸溜所としても知られ、無濾過・ノンチルフィルタードの伝統的な製法を守る。
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バーの棚にときどき紛れている、銘柄名のないボトル。刷られているのはドット付きの数字と、詩のような一文だけ。40年以上その作法を貫くスコッチモルトウイスキー・ソサエティの、数字の読み方と、名前を伏せる二つの理由。

原酒も樽も同じなのに、寝かせる倉庫が違うと酒質が変わる。土間に低く積むダンネージ式と、鉄骨に高く積むラック式。その湿度差が「天使の分け前」とアルコール度数を左右する仕組みを、熟成庫という見落とされがちな主役から解き明かす。

加水や冷えでウイスキーが白く濁るのはなぜか。その正体である長鎖脂肪酸エステルと、透明感を保つ冷却濾過(チルフィルタレーション)、そして愛好家が「ノンチルフィルタード」を好む理由を、分子のふるまいから解き明かす。