ブレンデッドモルトとは——「シングルモルト」でも「ブレンデッド」でもない第三の区分と、最初の一本に選ぶ6本
シングルモルトでもブレンデッドでもない「ブレンデッドモルト」。複数の蒸留所のモルトだけを束ねるこの区分の意味と、「ピュアモルト」がスコッチのラベルから消えた理由、そしてタイプ別のおすすめ6本を解説する。
酒売り場の棚には、「シングルモルト」と「ブレンデッド」のほかに、もうひとつ見慣れない言葉が並んでいる。「ブレンデッドモルト」だ。モンキーショルダー、ジョニーウォーカー グリーンラベル、そして竹鶴ピュアモルト——名前は知っていても、これがどちらの分類にも収まらない区分だと知る人は多くない。
この記事では、ブレンデッドモルトとは何か、なぜ「ピュアモルト」という呼び名がスコッチから消えたのか、そして最初の一本に選ぶならどれか——を順に整理する。
ブレンデッドモルトとは何か
定義はシンプルだ。二つ以上の蒸留所のシングルモルトだけを混ぜ合わせたものを指す。グレーンウイスキーは一滴も入らない。スコッチの場合、2009年のスコッチウイスキー規則で正式にこう定められている。
対比で見ると輪郭がはっきりする。シングルモルトは「一つの蒸留所・モルト100%」。ブレンデッドは「複数の蒸留所・モルト+グレーン」。そしてブレンデッドモルトは「複数の蒸留所・モルト100%」——つまり、シングルモルトから「一つの蒸留所」という縛りだけを外した造りだ。
(厳密にはスコッチの法的区分は5つあり、これにシングルグレーンとブレンデッドグレーンが加わる。ただし棚で日常的に出会うのは、上の三つがほとんどだ。)
ここが面白いところで、ブレンダーは「軽やかなグレーンで全体をつなぐ」という常套手段を使えない。個性の強いモルトどうしを、モルトだけで噛み合わせなければならない。どの蒸留所の、どんな性格を、どう組み合わせるか——設計者の意図が、そのまま味に出る区分だといえる。
なぜ「ピュアモルト」はスコッチから消えたのか
この区分、かつては「ヴァテッドモルト」あるいは「ピュアモルト」と呼ばれていた。いまスコッチのラベルでこれらの言葉を見かけないのは、2009年の規則で使えなくなったからだ。背景には、業界を揺るがした一件がある。
2003年、ディアジオはスペイン市場で人気だったシングルモルト「カーデュ」の原酒が需要に追いつかなくなり、中身を他の蒸留所のモルトも混ぜた「ピュアモルト」に切り替えた。ところがボトルの形もラベルの意匠も、シングルモルト時代とほとんど変わらないままだった。消費者は違いに気づきにくく、業界からは「シングルモルトの信用を損なう」と猛反発が起きた。同年12月、ディアジオはラベルの変更に応じ、翌2004年にはこの製品自体を撤回。のちにカーデュはシングルモルトへ戻っている。
問題の根は、「ピュアモルト」の“ピュア”が単一蒸留所を意味するのか、モルト100%を意味するのか、曖昧なまま両方に使われていたことにあった。2009年の規則で「ブレンデッドモルト」という呼び名に一本化されたのは、この曖昧さを断つためだったとされる。
ただしこの規則が縛るのはスコッチだけだ。日本のウイスキーは対象外なので、竹鶴はいまも堂々と「ピュアモルト」を名乗っている。ラベルの言葉が違うだけで、造りの区分としては同じものを指している。
最初の一本に選ぶなら——タイプ別6本
気軽に、ハイボールやカクテルで
モンキーショルダーは、ウィリアム・グラント&サンズによるブレンデッドモルト。発売当初はグレンフィディック、バルヴェニー、キニンヴィのモルトを核にしたとされる(現行の配合は公開されていない)。そもそも混ぜて飲むことを前提に設計されており、ハイボールやカクテルにしても香りが痩せない。名前は、麦芽を手作業で切り返していた職人が患った肩の不調に由来する。

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