
Four Roses
ケンタッキー州ローレンスバーグ、ケンタッキー川のほとりに立つスパニッシュ・ミッション様式の美しい蒸留所である。建物は1910年築の旧オールド・プレンティス蒸留所で、国家歴史登録財に名を連ねる。ブランドの起源は1888年にポール・ジョーンズ・ジュニアが商標登録した「フォアローゼズ」で、想い人に贈られた四輪のバラの逸話が名の由来と語られる。1943年にカナダのシーグラムが取得し、長く日本市場中心に流通した歴史を持つ。最大の特徴は、2種のマッシュビルと5種の自社酵母を掛け合わせて生む10種のレシピ。他に類を見ないこの手法が、フローラルで果実味豊かな唯一無二の複雑さを織り上げている。
最大の特徴は、2種のマッシュビル(ハイ・ライとロー・ライ)と5種の自社酵母株を組み合わせ、10種の異なるバーボンレシピを造り分ける独自の手法だ。各酵母はフルーティ、スパイシー、ハーバルといった個性を担い、その掛け合わせが香味の幅を生む。連続式蒸留のあと、内側を焦がした新樽で熟成。一層式(シングルストーリー)のウェアハウスで均一に熟成させることも、穏やかでフローラルな酒質を支える。
フォアローゼズのブランド起源は、1888年にポール・ジョーンズ・ジュニアが「フォアローゼズ」を商標登録したことにさかのぼり、1860年代には既に売られていたとされる。現在の蒸留所は1910年、スパニッシュ・ミッション様式で建てられた旧オールド・プレンティス蒸留所で、J.T.S.ブラウンが所有していた。1943年にカナダのシーグラムがブランドを取得。長らくアメリカ本国ではブレンデッドとして扱われ、ストレートバーボンは主に日本や欧州で愛された。現在はキリングループ傘下で、プレミアム・バーボンとしての評価を確立している。
蒸留所はケンタッキー州ローレンスバーグ、ケンタッキー川のほとりに立つ。カリフォルニアで流行したスパニッシュ・ミッション様式の建築は、洗練とエレガンスを打ち出し、当時の「密造酒」的なイメージから距離を置く狙いがあった。石灰岩層で濾過された鉄分の少ない硬水が、仕込み水として理想的な条件を備える。
定番の「フォアローゼズ バーボン(イエロー)」を入り口に、複数レシピをブレンドした「スモールバッチ」、単一レシピ・単一樽の「シングルバレル」を核とする。さらに希少な「スモールバッチ セレクト」や年替わりの「リミテッド エディション」は、10レシピの妙を最大限に引き出す逸品として愛好家の垂涎の的だ。





Four Roses Limited Edition Small Batch 2025
🇺🇸 アメリカ ・ フォアローゼズ蒸留所 ・ バーボン ・ NAS ・ 54.5%

酒が憲法で禁じられた禁酒法の13年間、ウイスキーを合法的に手に入れる道がひとつだけあった——医師の処方箋を持って薬局へ行くことだ。「酒=薬」という古い信仰、処方箋一枚で買えた一パイント、そして薬局チェーンと蒸留所を潤した「例外」まで、禁じることの難しさを読み解く。

棚に並ぶ「カスク No.○○」と番号入りのボトル。シングルカスクはなぜ一本ごとに表情が異なり、売り切れれば二度と同じ味が手に入らないのか。混ぜて味を揃える通常の瓶詰めとの違い、樽ごとに個性が育つ仕組み、そして「一つの樽を味わう」文化の始まりまでを読み解く。

「ウイスキーは大麦の酒」というイメージは根強いが、棚にはトウモロコシやライ麦、小麦から造られたボトルが並ぶ。甘さのトウモロコシ、辛みのライ麦、まろやかさの小麦、香ばしさと糖化を担う大麦麦芽——穀物が味の設計図を決める仕組みを読み解く。

スコッチとバーボンの違いを、産地・ルール・原料・樽・味わいの5つの切り口から並べて解説。新樽の甘さと中古樽の多彩さという対比で、最初の一本を選ぶ物差しを渡します。

甘くて親しみやすいのに奥が深いバーボン。原料(マッシュビル)・度数・飲み方の3つの軸で選び方を整理し、1,000円台の定番から通好みのシングルバレルまで、いま手に入りやすいおすすめ10本をタイプ別に紹介します。

スーパーでも見かけるフォアローゼズ。イエロー・ブラック・シングルバレル・スモールバッチ……種類が多くて迷いがち。キリンが育てた日本でおなじみのバーボンを、10のレシピと選び方まで整理します。

ジャックダニエルのラベルに書かれた「Sour Mash」。サワー=酸っぱい、ではない。前回の蒸留後に残る酸性の液を継ぎ足して発酵を安定させ、味をそろえる——二世紀にわたるアメリカンウイスキーの知恵を読み解く。

黄色いラベルのバーボン、フォアローゼズ。「四輪のバラ」に秘めたプロポーズ伝説から、禁酒法を生き延びた強かさ、シーグラム時代の転落、そして日本のキリンによる再生まで、一杯の背景をたどる。

「ストレート」「ボトルド・イン・ボンド」「スモールバッチ」「シングルバレル」。アメリカンウイスキーのラベルに並ぶ言葉を、連邦規則の裏づけがある土台から順に整理し、棚の前での選び方に落とし込む。

カクテルの原型とされるオールドファッションド。ウイスキー・砂糖・ビターズのシンプルな一杯を家で美味しく作るコツを、レシピ・技術・ベース選びまで解説します。

甘酸っぱくて間口の広いウイスキーサワー。基本の黄金比と作り方、卵白を泡立てるドライシェイク、赤ワインを浮かべるニューヨークサワー、ベースの選び方まで、家で美味しく作るコツを整理します。

どちらもケンタッキー州ローレンスバーグ、車で10〜15分の距離にある二軒。それでも造りは正反対だ。バーボンのレシピを一つに絞るワイルドターキーと、10の原酒を混ぜ分けるフォアローゼズ。違いの理由と選び分けを整理する。

同じ蒸溜所で同じ日に詰めた樽でも、熟成庫のどこに置かれたかで色も度数も味も変わる。上の階で度数が上がり下の階で下がる仕組み、中段の「ハニーバレル」、そして樽を動かす・平屋にする・そのまま瓶詰めするという造り手の三つの答えを追う。

棚のライウイスキーの裏ラベルに、しばしば同じ一行が入っている——「Distilled in Indiana」。ライ麦95%という共通のレシピ、閉鎖寸前だった契約蒸溜所、そして2015年にテンプルトン・ライが払った代償から、アメリカン・ウイスキーの「出自」の読み方をたどる。

この蒸留所が属する地域
トウモロコシを主原料とするバーボンウイスキーの本場。原料の51%以上がトウモロコシで、内側を焦がした新樽で熟成させることが法律上の条件となっている。ケンタッキー州が生産の中心地で、テネシー州のジャックダニエルズは木炭濾過(チャコール・メローイング)を経る独自製法「テネシーウイスキー」を名乗る。近年は小規模クラフト蒸留所が全米で急増している。
アメリカを深掘りする →地理ではなく味わいで繋がる、別の産地の蒸留所。