
WHY THIS TASTE
マキアベイと同じ約50ppmの麦芽を使いながら、樽構成を反転させた対の一本。およそ7割をオロロソシェリー樽、3割をエックスバーボン樽で熟成させ、46度で瓶詰めする。シェリー樽主体ゆえドライフルーツやチョコレートの甘みが厚く、ピートスモークはその奥から立ち上がる。バーボン樽主体のマキアベイと飲み比べる前提で設計された、蒸留所の二本柱のもう一方。

この味を生む蒸留所
キルホーマン蒸留所2005年、アンソニー・ウィルズがロックサイド農場に築いたキルホーマンは、実に124年ぶりとなるアイラ島の新設蒸留所だった。その真価は規模ではなく、思想にある。自らの畑で大麦を育て、フロアモルティングで製麦し、島のピートで焚き、蒸留し、熟成させ、瓶詰めまでを一貫して行う——「フィールド・トゥ・ボトル」を体現する数少ない存在だ。すべての工程を島内で完結させた「100% Islay」ボトリングは、この農場蒸留所の哲学そのものである。若い原酒ながら、鮮烈で伸びやかなスモークと、みずみずしいシトラスや洋梨の果実味が同居し、熟成不足を感じさせない完成度で世界を驚かせた。伝統回帰でありながら最も現代的——小さな農場から始まったこの挑戦は、クラフト蒸留所の一つの理想形を示している。
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キルホーマンKilchoman
スコットランド・アイラ島北西部のロックサイド農場にある、2005年創業のキルホーマン蒸溜所が手がけるシングルモルト。1908年以来アイラ島で新たに建てられた初の蒸溜所で、大麦の栽培からモルティング、蒸溜、熟成、瓶詰めまでを農場内で一貫して行う「シングルファーム」を特徴とする。伝統的なフロアモルティングも継続しており、アイラらしい力強いピート香とフルーティーさを併せ持つ味わい。
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家ではボトルを立てろと言われるのに、熟成庫の樽はたいてい横倒し。向きが逆なのは、樽が「濡らして密閉する」器で、瓶が「濡らさないで守る」容器だから。鏡板という弱点と、1879年に特許になった棚の話。

アイラで唯一、自ら大麦を育ててウイスキーを造るキルホーマン。2005年に124年ぶりの新蒸溜所として生まれた農場蒸溜所が、なぜ手間のかかる道を選んだのか。20ppmと50ppm、二段階のピートと樽の使い分けから読み解く。