WHY THIS TASTE
2.81回蒸留という独特な製法「モートラック・シグネチャー・スピリット」を持つ蒸留所による公式12年。肉厚でリッチな味わいが特徴の「野獣(The Beast)」の異名を持つ。

この味を生む蒸留所
モートラック蒸留所スコットランド・スペイサイド、ダフタウンに立つ、「ダフタウンの野獣(ビースト)」と呼ばれる異色の蒸留所である。1823年、ジェームズ・フィンドレーターが創業した、ダフタウン最古の公認蒸留所だ。1842年にグラント兄弟らが引き継ぎ、1923年にジョン・ウォーカー&サンズの手に渡った。現在はディアジオが所有する。最大の特徴は、数学的に「2.81回蒸留」と表される複雑で独特な蒸留工程と、現代的な熱交換器を用いずワームタブ(蛇管)式の冷却器を残す点だ。ワームタブは銅との接触を抑え、硫黄由来の重い成分を残すことで、肉やなめし革を思わせる濃厚でセイヴォリーな酒質を生む。骨太で複雑な、まさに野獣の名にふさわしい造り手だ。
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モートラックMortlach
スコットランド・スペイサイド、ダフタウン最古の蒸溜所として1823年創業、現在はディアジオが所有。「2.81回蒸溜」と呼ばれる独自工程とワームタブ式冷却器により、肉厚でリッチな重厚な風味を生む「ダフタウンの野獣」の異名を持つ。ジョニーウォーカーのブレンドにも欠かせない原酒で、近年はシングルモルトも展開。
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2026年、材料科学の専門誌に「Whisky-Inspired Active Matter」という論文が載った。蒸溜所の銅と硫黄の反応から着想を得て、髪より小さい粒子を毎秒30マイクロメートルで泳がせた研究だ。ただし銅に残ったのは硫化銅ではなく、エタノールを混ぜると粒子は止まった。

蒸溜室の中央に据えられた、真鍮とガラスの箱「スピリッツセーフ」。錠が下りているのは味や衛生のためではなく、税のためである。長らく鍵を握っていたのは造り手ではなかった。触れられないまま、どうやって味は決められてきたのか。

華やかなスペイサイドの中心で「ダフタウンの野獣」と呼ばれるモートラック。肉のように重厚な酒質と、謎めいた「2.81回蒸留」の正体を、コーウィー父子の設計とワームタブから読み解く。

ラベルに刷られる「3回蒸留」と、多くのスコッチが選ぶ「2回蒸留」。蒸留を1回増やすと酒は何が変わるのか。2回が基本の理由から、スプリングバンクの2.5回・モートラックの2.81回という中間の妙まで、蒸留回数に込められた設計思想を読み解く。

クライゲラヒやモートラックに漂う、肉や煮野菜を思わせる骨太な風味。その多くは「ワームタブ」という古い冷却装置に由来する。なぜ蒸気の冷やし方ひとつで酒質がここまで変わるのか、銅接触と硫黄という視点から解き明かす。