バランタイン vs シーバスリーガル——実は「同じ家」の二大ブレンデッド、味と選び方はどう違う?
スーパーで隣り合う二大ブレンデッドスコッチ、バランタインとシーバスリーガル。実は同じシーバス・ブラザーズ傘下の兄弟だ。生い立ち・核のモルト・レンジの組み立て・日本限定ミズナラまで、味と選び方の違いを整理する。
スーパーや量販店の洋酒棚で、必ずといっていいほど近くに並んでいる二本のスコッチがある。「バランタイン」と「シーバスリーガル」だ。どちらも世界的な定番ブレンデッドだが、味はどう違い、どちらを選べばいいのか。そして意外に知られていないが、この二つはいま、同じ会社の下で造られている「兄弟」でもある。この記事では、生い立ち・味の設計・ラインナップ・日本での顔を並べて、自分に合う一本の見つけ方まで整理する。
同じ家の兄弟である
現在、バランタインとシーバスリーガルはどちらも、仏ペルノ・リカール傘下のシーバス・ブラザーズ社が手がけている。シーバスリーガルは2001年、カナダのシーグラム社の酒類事業の分割買収で、バランタインは2005年の英アライド・ドメック社の買収で、それぞれペルノ・リカールの一員となった。かつて別々の資本で競い合った二大ブランドが、いまは同じ屋根の下にいるわけだ。
それでも両者は、市場での役割をきれいに分け合っている。販売量ではバランタインがジョニーウォーカーに次ぐ世界2位。シーバスリーガルは世界4位前後で、年間400万ケース超を売る。「数のバランタイン、格のシーバス」——この分担には、後で見るように出自の違いがそのまま表れている。
生い立ち——同じ食料品店出身、しかし歩んだ道は逆
出発点はよく似ている。シーバスリーガルの源流は1801年、スコットランド北東部アバディーンで開かれた食料品店。1843年にはヴィクトリア女王に食料品を納めて王室御用達(ロイヤルワラント)を授かった。「リーガル(王の)」という名の素地はここにある。そして1909年、熟成年数を高らかに掲げた「シーバスリーガル25年」をニューヨークへ送り出す。これは年数をうたった世界初のラグジュアリーブレンドとされ、つまりシーバスは最初から「贅沢品」として世に出たブランドだった。
一方のバランタインは1827年、農家出身のジョージ・バランタインがエディンバラに開いた食料品店に始まる。旗艦は1910年に生まれた年数表記のない「ファイネスト」。手の届く日常の一杯を旗艦に据え、そこから上へ年数物を積み上げていった。最初から高みを狙ったシーバスと、日常から積み上げたバランタイン。二本の性格の違いは、この出自に根がある。
味の芯——ストラスアイラか、ミルトンダフ&グレンバーギーか
ブレンデッドの個性は、何十種もの原酒の中心に置かれる「核のモルト」で決まる(なぜ何十もの原酒を混ぜるのかはこちら)。
シーバスリーガルの心臓部は、1786年創業で「操業を続けるハイランド最古の蒸溜所」とされるストラスアイラ。蜂蜜やリンゴ、バニラを思わせる、まろやかで華やかな味の芯をつくる。対するバランタインの「指紋」とされるのが、ミルトンダフとグレンバーギーという二つのスペイサイド蒸溜所。約50種のモルトを重ね、蜂蜜の甘さと軽やかで伸びのある口当たりに仕上げる。
つまり、どちらもスペイサイドの華やかさを軸にした「なめらか系」で、アイラモルトのようなスモーキーさはほとんどない。方向は近い。そのうえであえて言えば、シーバスは熟した果実の甘さと厚みがやや前に出て、バランタインはより軽快でドライに感じられる——同じ「飲みやすい」でも、濃淡が一段違う、というのが筆者の印象だ。
ラインナップ——入口の高さが対照的
違いがいちばんはっきり出るのが、レンジの組み立てだ。
バランタインの入口は、1,000円台で買えるファイネスト。そこから12年・17年・21年・30年と「年数のはしご」を登っていく。ハイボールで気軽に始めて、少しずつ上を覗ける構造だ。

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