ウイスキーに「資格」はあるのか——検定とコニサー、そして日本に22人だけの「マスター・オブ・ウイスキー」
ウイスキーにも腕前を測るものさしはあるのか。日本には気軽な「ウイスキー検定」と職業寄りの「ウイスキーコニサー」という二系統があり、最上位のマスター・オブ・ウイスキーは累計22名。級・受験料・日程の違いと、自分に向いているのはどちらかを整理する。
バーのカウンターで銘柄の話をしていて、「お詳しいんですね」と言われる。悪い気はしないけれど、自分がどのくらい知っているのかは、結局のところ自分では分からない。ワインにソムリエがあるように、ウイスキーにも腕前を測るものさしはあるのだろうか。
あります。しかも日本には、性格のまるで違う二つの体系があります。ひとつは20歳以上なら、3級・2級を自宅から受けられる気軽なもの。もうひとつは、最上位に到達した人がこれまでに22人しかいないという、かなり険しい階段です。
この記事では、その二つがどう違い、どちらが自分に向いているのかを整理します。
気軽な「検定」と、職業的な「コニサー」
日本でウイスキーの腕前を測る仕組みは、大きく二系統に分かれます。
ひとつがウイスキー検定。一般社団法人ウイスキー検定実行委員会が主催し、ウイスキー文化研究所が運営、ウイスキー評論家の土屋守氏が監修しています。位置づけは「もっと楽しむための知識を問う試験」で、趣味の延長として受けられます。
もうひとつがウイスキーコニサー資格認定制度。コニサー(connoisseur)は「鑑定家」の意味で、こちらは知識だけでなく利き酒の能力まで問われる、職業寄りの資格です。
ざっくり言えば、検定は「知識の腕試し」、コニサーは「名乗るための資格」。まずは前者から見ていきます。
ウイスキー検定——自宅から、4,400円で
ウイスキー検定は年2回、2月と9月に開催されています。総合的な級は3級(初級)・2級(中級)・1級(最上級)の三段階。
受験資格は20歳以上であること。ただし1級だけは、2級合格者かコニサー資格保有者でないと受けられません。
2026年9月の第23回を例に、条件を並べてみます。
- 3級:4者択一100問、60問以上で合格。受験料4,400円
- 2級:4者択一100問、70問以上で合格。受験料5,500円
- JC級(特別級・ジャパニーズクラフトウイスキー):5者択一100問、75問以上で合格。受験料5,500円
- 1級:5者択一+記述100問、80問以上で合格。受験料6,600円
3級・2級・1級と進むにつれて合格ラインが上がっていくのが分かります(JC級は難易度の序列とは別枠にある特別級です)。2つ以上を併願すると受験料が10%引きになる仕組みもあります。
そして現在の主流は在宅試験です。第23回では、3級・2級・JC級が9月18日から28日までの在宅受験で、会場に集まるのは1級(9月27日)だけ。ネット環境と、お酒への好奇心があれば、休日の午後に自室で受けられてしまいます。
なおこの回の申込締切は、コンビニ・銀行振込・ペイジー払いが8月20日、クレジットカード払いが8月27日。日程や受験料は回ごとに変わるので、受ける前に必ず公式サイトで確認してください。
「バーボン級」「ウイスキーメイキング級」という寄り道
この検定が面白いのは、3級・2級・1級のほかに特別級が用意されていることです。これまでに実施されてきたのは6種類。
BW級(バーボンウイスキー)、IW級(アイリッシュウイスキー)、JC級(ジャパニーズクラフトウイスキー)、SM級(シングルモルト)、JW級(ジャパニーズウイスキー)、そして2025年2月から加わったWM級(ウイスキーメイキング=製法)。
級というより、好きな分野に潜っていくための入口に近い。モルトばかり飲んでいる人がSM級を、日本の新興蒸溜所を追いかけている人がJC級を受ける——そういう楽しみ方ができます。先ほどの一覧のとおり、JC級は合格ラインが75問と、2級より高めに設定されています。
コニサー資格——三段の階段
もう一方のウイスキーコニサー資格認定制度は、三段構えです。
**ウイスキーエキスパート(WE)**が入口。20歳以上なら職種・経験は問われず、筆記90分の選択式試験です。受験料は会員18,700円・一般22,000円、別途認定料11,000円。2026年は5月24日に実施されました。
ウイスキープロフェッショナル(WP)は、WE保有者だけが受けられる次の段。ここから筆記90分に加えて官能試験60分が入ります。つまり、飲んで当てる力が問われる。受験料は会員24,200円・一般27,500円、認定料11,000円で、2026年は10月25日の実施予定です(こちらも日程は年によって動くので、公式サイトで確認を)。
検定との最大の違いはここでしょう。検定が「知っているか」を測るのに対し、コニサーの上位は「分かるか」を問うてきます。グラスの中身を言葉にできなければ通りません。
日本に22人——マスター・オブ・ウイスキー
そして最上位が**マスター・オブ・ウイスキー(MW)**です。名前がよく似た検定のWM級(ウイスキーメイキング級)とは別物で、こちらはコニサー制度の頂点にあたります。
受験資格はウイスキー文化研究所の会員であり、かつWP保有者であること。一次試験は。二次試験で筆記・官能試験・口頭試問が課されます。研究者の学位審査に近い構えです。
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