なぜ響は「ジャパニーズウイスキーの頂点」と憧れられるのか——調和という思想と、90年目に生まれた一本
サントリー創業90周年に生まれたブレンデッド「響」。名前・ボトル・味わいのすべてに貫かれた「調和」という思想と、山崎・白州・知多の原酒が響き合う理由、そして手に入りにくくなった今の姿までを読み解く。
現在、琥珀色に輝くその一本は、多くの飲み手にとって「いつか手にしたい憧れ」であり続けている。サントリーのブレンデッドウイスキー「響」。なぜこの一本は、ジャパニーズウイスキーの頂点として語られ、これほど多くの飲み手を惹きつけるのか。答えは、味だけでなく、名前・ボトル・生い立ちのすべてを貫く「調和」という思想にある。
90年目に、ようやく生まれた「最高峰」
響が世に出たのは1989年。サントリーの創業90周年を記念して発売された「響17年」が、その始まりだった。ウイスキーづくりは仕込んでから飲み頃になるまで長い年月がかかる。裏を返せば、円熟した最高峰のブレンデッドを名乗るには、多彩で質の高い原酒が長期間ストックされていなければ成り立たない。
1923年操業の山崎、1973年操業の白州——サントリーが創業以来つくり続けてきた多彩な原酒の蓄積が、90周年を迎える頃、ようやく「最高峰」を組めるだけの厚みに達した。響は、その積み重ねがあって初めて生まれた一本だった。「最高峰と呼ぶにふさわしいウイスキーを」という当時の作り手の志が、そのまま形になっている。
「響」という名に込めた、調和という思想
響という名前には、日本の自然や四季、そして幾種もの原酒が互いに響き合い、ひとつの調和を生み出すという思想が込められている。ここが響を理解する鍵だ。
響は、山崎・白州のモルト原酒に、知多蒸溜所のグレーン原酒を組み合わせてつくられる。使われる原酒は30種類を超えるとされ、シェリー樽やミズナラ樽で育った個性の強い原酒から、軽やかで澄んだグレーンまで、性格の異なる液体が一本に束ねられる。単一の蒸溜所や樽が突出するのではなく、重なり合ったときの美しさを狙う——それがブレンデッドとしての響の流儀であり、歴代のマスターブレンダーが磨いてきた技の見せ場でもある。
ボトルそのものが「時」を語る
響の魅力は中身だけにとどまらない。象徴的な24面カットのデキャンタ型ボトルは、1日の24時間と、季節の移ろいを示す日本の暦「二十四節気」を表しているとされる。四季を幾度も巡りながら、気の遠くなる時間をかけて熟成する——ウイスキーにとっての「時」そのものを、ガラスの造形に写し取ったデザインだ。
ラベルもまた日本的だ。和紙に墨で書かれた「響」の一字は、書家・荻野丹雪の揮毫による。工業製品でありながら、一本の掛け軸のような佇まいをまとっている点が、贈答の場でも選ばれ続ける理由になっている。
世界が認めた頂点、そして手が届きにくい一本へ
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