なぜモンキーショルダーは「猿の肩」と名づけられ、バーテンダーに選ばれ続けるのか——三つのスペイサイドと、堂々と混ぜる一本
ボトルにちょこんと乗った三匹の猿と、「猿の肩」という奇妙な名前。ウィリアム・グラント社が三つのスペイサイド蒸溜所のモルトだけで仕上げたモンキーショルダーは、なぜ「混ぜて飲む」ことを堂々と掲げ、世界のバーテンダーに愛されるのか。名前の由来と造りから読み解く。
バーの棚に、キャップの上へちょこんと三匹の小さな猿が乗ったボトルが並んでいることがある。名前は「モンキーショルダー」——直訳すれば「猿の肩」。ずいぶんと人を食った名前だが、これはウィリアム・グラント社が手がける正真正銘のスコッチであり、いま世界中のバーテンダーが「まず一本」として頼りにする定番だ。
なぜこの一本は、奇妙な名前を掲げ、しかも「混ぜて飲むこと」を堂々と勧めながら愛されるのか。名前の由来と、その造りからひもといてみたい。
「猿の肩」とは、麦を返す職人の肩のことだった
名前の正体は、ウイスキー造りの現場にあった重労働にある。かつて多くの蒸溜所は、大麦を自分たちの手で発芽させる「フロアモルティング」を行っていた。床一面に広げた麦を、職人たちは「シール」と呼ばれる木製のシャベルで一日に何度もすくい上げ、裏返してかき混ぜる。
この単調できつい作業を続けると、腕がだらりと垂れ下がるほどの筋肉疲労に襲われた。その垂れた腕の様子が猿を思わせたことから、職人たちはこの状態を「モンキーショルダー(猿の肩)」と呼んだ——という。いまや製麦の多くは機械化され、この職業病は過去のものになった。ブランド名には、そんな麦づくりの現場へのオマージュが込められている。
三つの蒸溜所を束ねる「ブレンデッドモルト」
モンキーショルダーは、ラベルに「ブレンデッドモルト」と記される。これはシングルモルトでもブレンデッドウイスキーでもない、いわば第三の区分だ。ブレンデッドスコッチが穀物由来のグレーンウイスキーを含むのに対し、ブレンデッドモルト(かつては「ヴァッテッドモルト」と呼ばれた)はモルトウイスキーだけを混ぜ合わせる。
その中身は、いずれもスペイサイドを代表する三つの蒸溜所——グレンフィディック、バルヴェニー、キニンヴィのモルト。三つともウィリアム・グラント社の自社蒸溜所であり、ボトルに乗る三匹の猿は、この三つの蒸溜所を表している。バーボン樽由来のバニラやはちみつのような甘さと、スペイサイドらしいなめらかさが、飲みやすさの核になっている。
ラベルにある「Batch 27」も遊び心のある表示で、当初のレシピが27樽を選んで大きな樽でマリッジ(結婚=なじませる工程)したことに由来するとされる。数字は限定ロット番号ではなく、少量ずつ丁寧に仕上げるという姿勢の表れだ。

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