なぜ空母クイーン・エリザベスは、シャンパンではなくボウモアの瓶で名づけられたのか——同じスコットランド生まれでも、ジンを選ばれた艦がある
2014年、空母クイーン・エリザベスの船体で砕けたのはシャンパンではなくアイラのボウモアだった。ところが同じスコットランドで造られながら、ジンの瓶で名づけられた艦もある。瓶の中身は何を映しているのか。
船の命名式といえば、船体に叩きつけられて砕けるシャンパンの瓶を思い浮かべる人が多いだろう。ところがスコットランドで名づけられる船には、ウイスキーの瓶が使われることがある。英海軍史上最大の空母も、そうやって名前を授かった。
では「スコットランドで造った船だからウイスキー」なのかというと、そう単純でもない。グラスゴーのスコッツタウン造船所からは、ウイスキーで名づけられた艦と、ジンで名づけられた艦の両方が出ていっている。この記事では、どの船にどの一本が使われたのかを並べながら、瓶の中身が何を映しているのかを見ていく。
2014年、空母の船体でボウモアの瓶が砕けた
2014年7月4日、スコットランド東岸ロサイスの造船所。エリザベス2世が空母クイーン・エリザベスを命名した。砕けたのは、英国政府の発表によればアイラ島ボウモア蒸溜所の「サーフ」である。
数ある蒸溜所からボウモアが選ばれた理由も、同じ発表に書かれている。1980年8月9日、女王が公式な立場で訪れた最初のウイスキー蒸溜所が、ここだった。1779年からロッホ・インダールの岸に立つ、アイラ最古の蒸溜所である。
シャンパンでなかった理由も明快だ。この船はスコットランドで生まれるのだから、命名にはウイスキー——ゲール語で「命の水」と呼ばれた酒——がふさわしい。当時のスコットランド担当相も、世界に誇る造船と世界に誇るウイスキーというスコットランドの二つの産物が、その日に一つになるのだと語っている。
英海軍の記録では、これが二例目だった
ただ、この説明のどこにも「昔からそうしてきた」という一言は入っていない。
同じ発表資料には、過去にウイスキーで命名された艦としてフリゲート艦サザーランド(1996年、マッカランが使われた)が挙げられ、英海軍の記録ではそれ以外に例はないと明記されている。どのボトルだったのかまでは残っていない。
つまり2014年の時点で、英海軍にとってウイスキーでの命名は二例目だった。1996年の一例と、18年後の空母。記録上はそれだけである。伝統と呼ぶには、まだあまりに短い。
同じ造船所から、ジンで名づけられた艦も出ていく
そして、建造地だけで中身が決まるわけでもない。
2017年10月20日、グラスゴーのBAEシステムズ・スコッツタウン造船所で哨戒艦メドウェイが命名された。使われたのはウイスキーではなく、ケント州のチャタム歴史造船所で蒸留されたジンである。艦名の由来がイングランドのメドウェイ川で、その川沿いにチャタムの造船所があるからだ。
翌2018年3月13日、クライド川をはさんだガヴァンで命名された哨戒艦トレントも同様だった。瓶に入っていたのは、トレント川の近くで蒸留されたジン。
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