
Bunnahabhain
ゲール語で「川の河口」を意味するブナハーブンは、ポートアスケイグから未舗装の細道をたどった先、人里離れた入り江にひっそりと佇む。1881年創業。一マイル北のマーガデール泉から、ピートを通さない硬質な水を引くのが大きな特徴だ。そのためアイラにありながらスモークは控えめ——潮風とナッツ、そしてシェリー樽由来のドライフルーツの円熟が主役となり、重厚でありながら気品ある味わいを描く。「アイラ=ピート」という先入観を静かに裏切るこの個性は、島の多様性を象徴している。運営はディーンストンやトバモリーと同じバーンスチュワート系(ディステル、ハイネケン系)。海に開かれた立地ゆえの塩気と、泉が与える丸みが同居する、通好みの一本だ。
ブナハーブン最大の特徴は、アイラ島にありながら、看板の原酒をノンピート(ないしごく軽いピート)で造る点だ。ピート層を通らないマーガデイルの泉水を用い、麦のうまみとナッティでフルーティな甘み、そして海辺ゆえのほのかな塩気を生かす。一方で、ヘビリー・ピーテッドの原酒も造り分け、「トゥ・ゲイル」などスモーキーな表現も手がける。ノンピートとピートの両極を操る柔軟さが持ち味だ。
ブナハーブン蒸留所は、1881年、ブレンダーのウィリアム・ロバートソンが、グリーンリーズ兄弟と組んで創業した。アイラ島北東部の人里離れた海辺に立ち、1960年代まで船でしか行けなかった秘境だった。現在は、ハイネケン傘下のディステル・グループが所有する。アイラ島にありながら、多くの蒸留所とは一線を画すノンピート主体のスタイルで知られ、独自の道を歩んできた「アイラの異端児」とも呼べる存在である。
蒸留所はスコットランド、アイラ島北東部の人里離れた海辺に立つ。仕込み水は、蒸留所の北1マイルにあるマーガデイルの泉から引く、ミネラル豊かな湧水だ。この水は、他のアイラの蒸留所と異なり、ピート層を通らずに湧き出るため、ブナハーブンのクリーンな酒質の一因となっている。かつては船でしか行けなかった秘境の立地が、その独立独歩の個性を育んだ。
定番の「ブナハーブン12年」は、ノンピートでシェリー樽由来のナッティな甘みと潮気が調和した、通好みの一本だ。ほかに「18年」「25年」や、ヘビリー・ピーテッドの「トゥ・ゲイル」などを展開する。アイラ島にありながらノンピート主体という独自路線で、麦のうまみと潮気を生かす、島北東部の異端の名手である。




Bunnahabhain An Cuan Garbh No.1 Feis Ile 2026
🏴 スコットランド ・ ブナハーブン蒸留所 ・ シングルモルト ・ 15年 ・ 51.6%
Chieftain's Bunnahabhain 2006 11 Year Old
🏴 スコットランド ・ ブナハーブン蒸留所 ・ シングルモルト ・ 11年 ・ 48%

ブナハーブン、カリラ、ブルックラディ——スコッチの銘柄名が読めないのは、英語ではなくゲール語だから。代表銘柄の名前の意味と読み方、あえて改名しない理由を、土地の風景とともに読み解く。

アイラといえば強烈なピート。でもブナハーブンは、その島でほとんど煙を焚かない。仕込み水にすら泥炭を寄せつけないこの蒸溜所が、なぜ「海の甘さ」で通に愛されるのか。造りと歴史からたどる。

同じアイラを「正露丸」と嫌う人と絶賛する人がいるのは、好みの差だけではない。調べられた範囲で二人の嗅覚受容体の対立遺伝子は3割が機能的に異なり、ピート香を象徴するグアイアコールでは、その差が実際に数字になっている。

ラフロイグ、ラガヴーリン、ボウモア。アイラ島の蒸溜所は海に向いた壁に黒い大文字で名を掲げる。船のための標識だったと語られるその表示を、蒸溜所が自前の桟橋と貨物船を持っていた時代の記録からたどる。

この蒸留所が属する地域
スコットランド西岸の小島で、潮風と豊富なピート(泥炭)を生かした強烈にスモーキーな個性で知られる。ラフロイグ、アードベッグ、ラガヴーリン、ボウモアなど「アイラモルト」の名で世界的に知られる蒸留所が集中し、正露丸や消毒液に例えられるほど個性的な薬品香・ヨード香が特徴とされる。
アイラを深掘りする →地理ではなく味わいで繋がる、別の産地の蒸留所。