
WHY THIS TASTE
インド産ノンピート大麦75%とスコットランド産ピーテッド大麦25%を融合(フュージョン)させるという名前の由来通りの製法により、スパイシーな熱帯らしい風味とほのかなスモーキーさが同居する。インドの高温多湿な気候により熟成が早く進むことも凝縮感に寄与している。

この味を生む蒸留所
アムルット蒸留所インド・バンガロール、標高約900メートルの地に立つ、インドを代表するシングルモルト蒸留所である。1947年、J・N・ラダクリシュナ・ラオ・ジャグデールが「アムルット・ラボラトリーズ」として創業した。1980年代、二代目ニーラカンタ・ラオ・ジャグデールが、糖蜜由来が主流だったインドで、あえて大麦麦芽からウイスキーを蒸留するという決断を下した。インド産大麦と熱帯熟成が国際的に通用すると証明する野心だった。高温ゆえに熟成が速く、年間11〜12%というエンジェルズシェア(スコットランドは約2%)で、インドでの1年はスコットランドの約3年に相当するという。2004年に世界を驚かせたインド初の本格シングルモルトの先駆者だ。
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アムルットAmrut
1948年創業、インド・バンガロールに拠点を置くアムルット蒸溜所が手がけるシングルモルトウイスキー。インド初かつ最多受賞歴を誇るシングルモルトメーカーとされる。高温多湿な気候のため熟成が早く進み、天使の取り分(蒸発によるロス)も年10%超とスコットランドよりはるかに高いのが特徴。2010年、評論家ジム・マーレイが「フュージョン」を世界第3位と評価し、国際的な評価を高めた。
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アルゼンチンの家族蒸溜所が、2つの樽を軍用機で南極へ送った。マイナス35度の小屋で3年。造り手は蒸発が抑えられたようだと言うが、確かめるには度数を測るしかない。8つの大陸を比べる分析が2026年7月に始まった。

人口の96%がムスリムで酒が禁じられたパキスタンに、1860年創業の醸造所が一軒ある。条文を開くと、そこにあったのは一律の禁止ではなく、誰がどこでなら飲めるかという線と、聖職者の署名を添えて出される許可証だった。

ニューワールドウイスキーといえば台湾とインドだったが、いま造り手の動きが最も激しいのは日本のすぐ隣だ。韓国初のシングルモルトを生んだソウル郊外の蒸溜所と、ペルノ・リカールとディアジオが山に建てた中国の蒸溜所。どこまで進み、どこからが未完なのかを事実と数字で整理する。

世界でいちばんウイスキーを飲む国はインド。だが国内で飲まれる「ウイスキー」の多くは糖蜜から造られ、EUや英米の定義ではウイスキーと名乗れない。そのねじれの理由と、アムルットやポール・ジョンが起こしている逆転を追う。

熟成を早めたい——小さな樽、暑い倉庫、そして数日で熟成を再現する新技術まで、造り手は何度も挑んできた。それでもウイスキーに年月が要るのはなぜか。樽の中で時間だけが起こせることから読み解く。

スコッチやジャパニーズだけが世界ではない。台湾・インド・イングランド・豪州・北欧……近年、国際的な評価を一変させた「ニューワールドウイスキー」を、国ごとの個性と最初の一本の選び方でやさしく案内する。