
WHY THIS TASTE
1986年に12年熟成表記で登場したスモールバッチで、2016年に年数表記を外し、8〜12年熟成の原酒を組み合わせる構成に切り替えた。あわせて1バッチあたりの樽数の上限も100樽から200樽へ広げている。94プルーフ(47%)で瓶詰めされ、新樽由来のバニラやキャラメル、トーストしたオークの香ばしさが厚い。上位にはこの原酒を2つ目のトースト樽で仕上げるトーステッドバレルや、単樽長熟の18年がある。

この味を生む蒸留所
バーンハイム蒸留所ケンタッキー州ルイビル、家族経営として全米最大級を誇るヘヴンヒルが所有する唯一の自社蒸留拠点である。1897年にアイザック・バーンハイムがこの地に蒸留所を築いたのが名の由来で、この地には1881年から蒸留の歴史があった。現在の大型蒸留所は1992年にギネス傘下のユナイテッド・ディスティラーズが建設した。1996年、バーズタウンのヘヴンヒル工場が火災で9万樽を焼失する惨事に見舞われ、同社は1999年にディアジオからこのバーンハイム蒸留所を取得して再起を果たした。アメリカン・ウイスキーの主要スタイルをすべて造れる稀有な拠点で、5種の看板マッシュビルを持つ。2005年には禁酒法以降初の新スタイル、冬小麦主体の「バーンハイム ウィート ウイスキー」を世に出した。
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エライジャ・クレイグElijah Craig
米ケンタッキー州の蒸溜業者ヘヴンヒルが手がけるプレミアムバーボン。ブランド名は「バーボンの父」とも呼ばれる18世紀のバプテスト派牧師エライジャ・クレイグに由来する。1930年代創業のヘヴンヒルが手がけ、1980年代に発売されたスモールバッチ版は、プレミアムバーボン復興の先駆けとして高く評価された。バニラやキャラメルの甘みと樽由来のスパイシーさが調和した味わいが特徴。
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黒ラベルに並ぶ「Since 1783」と「Kentucky's 1st Distiller」。名前の主はルイビルの石工で、ブランドは1957年にヘヴンヒルが立ち上げたもの。「最初」という言葉は100年以上あとの本で初めて現れたと歴史家は言う。ラベルの言葉の出どころをたどる。

バーボン樽はなぜ53ガロン(約200リットル)なのか。法律に定めはなく、TTBの「約50ガロン」定義案も2020年に取り下げられた。戦前の48ガロンから広がった経緯を、木材不足と1879年特許の棚からたどり、通説の確度も見きわめる。

エライジャ・クレイグのラベルに今も残る「バーボンの父」。実在の牧師で蒸溜もしていたクレイグを「最初の人」と書いた記録は生前になく、伝説の出どころは1874年の一行でした。焦がした樽の逸話、1826年の手紙、禁酒運動との関係から、伝説がラベルになるまでをたどります。

スコッチとバーボンの現場では、この10年ストライキがくり返されてきた。争われているのは賃上げだけではない。残業、シフト、そして「休暇1日=7時間12分」という計算式だ。

熟成中に減る分は「天使の分け前」と呼ばれる。だがケンタッキーのある蒸溜所の数字では、1年目だけ損失がちょうど倍になる。空へ消えたのではなく、樽の板が飲み込んだ分——その正体と、2011年にそれを取り返しにいったバーボンの話。

ケンタッキーのバーボンは、空調も断熱もない7階建ての木造倉庫で眠る。2018年、その一棟が12日を置いて二度崩れ、計1万8,000樽が落ちた。それでも新しい熟成庫が木で建てられ続けるのはなぜか。