ジャックダニエルの種類と選び方——オールドNo.7・ジェントルマンジャック・シングルバレル、「炭を何度くぐったか」と度数で選ぶ最初の一本
黒ラベルのオールドNo.7だけがジャックダニエルではない。炭を通す回数、40〜50度という度数の階段、そして日本の棚では「リキュール」に分かれる甘い層。三つのものさしで選び分けを整理する。
酒売り場でいちばん見慣れた黒いラベル、ジャックダニエル オールドNo.7。ところがその隣には、銀色のジェントルマンジャック、緑がかったシングルバレル、そして黄色いハニーが並んでいる。名前は同じ「ジャックダニエル」なのに、値段は倍以上開くこともある。
この記事では、日本で手に取れるジャックダニエルの主なラインナップを、「炭を何度くぐったか」「度数」「日本の酒税法上の品目」 という3つの手がかりで整理する。そのうえで、ハイボール中心の人、ストレートで飲みたい人、贈り物を探している人それぞれに向けて、最初の一本を挙げる。
なお「ジャックダニエルはバーボンなのか」という論争そのものは別の記事で扱っている。ここでは、その先にある「で、どれを買えばいいのか」に絞って掘り下げる。
ラインナップは、大きく3つの層に分かれる
まず全体の地図を描いておきたい。ジャックダニエルの棚は、性格の違う3つの層でできている。
1. 定番の層(40度)——オールドNo.7とジェントルマンジャック。どちらもアルコール度数40度で、日常的に飲まれる価格帯にある。
2. 度数と個性で選ぶ層(45〜50度)——シングルバレル セレクト(47度)、ボンデッド(50度)、テネシーライ(45度)。度数が上がり、味の輪郭がはっきりする。
3. 甘い層(35度)——テネシーハニーとテネシーアップル。じつはこの層だけ、日本ではウイスキーですらない(後述)。
値段の順に一列で並べるより、この3層で捉えたほうが選び分けは早い。
手がかり①:炭を何度くぐったか
ジャックダニエルの造りで最も特徴的なのが、蒸溜したての無色の原酒を、サトウカエデ(シュガーメープル)の炭の層にゆっくり通す工程だ。「チャコール・メローイング」と呼ばれ、これがテネシーウイスキーをバーボンと分ける一線になっている(工程そのものの詳しい話はリンカーン郡工程の記事へ)。
面白いのは、この工程の回数がそのまま製品の階層になっていることだ。
- オールドNo.7 … 樽詰めの前に一度、10フィート(約3メートル)積み上げた炭の層を通す。
- ジェントルマンジャック … それに加えて、熟成を終えたあと、瓶詰めの前にもう一度、同じ10フィートの炭を通す。だから「ダブル・メロウド(Double Mellowed)」を名乗る。
同じ蒸溜所の、同じ造りの原酒でありながら、二度目の炭を通すかどうかで口当たりが変わる。ジェントルマンジャックがオールドNo.7より角がなく、とろりと感じられるのはこのためだ。
逆に言えば、炭酸で割ってしまえば、その差はかなり薄まる。二度目の炭に払う差額は、ストレートやロックで飲む人ほど回収しやすい、と考えておくといい。

このコラムの関連
関連するボトル

Jack Daniel's Single Barrel Select
🇺🇸 アメリカ ・ ジャックダニエル蒸留所 ・ テネシー ・ NAS ・ 47%

次に読む

ブラインド・テイスティング用のグラスは、なぜ青いのか——白ワインを赤く染めた実験と、色を消す道具
ブラインド用のグラスには、中身の色が見えない青や黒のものがある。色を隠すと何が変わるのか——白ワインを赤く染めた2001年の実験と、黒いグラスを使った追試、そしてウイスキーの色が読み違えやすい理由をたどる。

ウイスキーの瓶の底に沈んでいる粒は何なのか——温度を戻して消えるかどうかで、正体は二つに分かれる
グラスや瓶の底に、黒い粒や白いもやが見えることがある。正体は二系統に分かれる。白いものなら、温度を戻して消えるかどうかが決め手になる。飲んで大丈夫なのか、そして樽の沈殿物をあえて瓶に残すボトラーの話。







