
WHY THIS TASTE
ヘヴンヒルの量販定番バーボン。かつては7年熟成表記だったが、2000年代初頭に年数表記を外した。表記はないものの、ストレート・バーボンを名乗るため4年以上熟成しており、86プルーフ(43%)で瓶詰めされる。価格を抑えた定番ながら新樽由来のキャラメルやバニラの甘さがしっかりあり、ハイボールやカクテルのベースにも使いやすい。同ブランドの100プルーフ版、ボトルド・イン・ボンド(白ラベル)より軽い飲み口。

この味を生む蒸留所
バーンハイム蒸留所ケンタッキー州ルイビル、家族経営として全米最大級を誇るヘヴンヒルが所有する唯一の自社蒸留拠点である。1897年にアイザック・バーンハイムがこの地に蒸留所を築いたのが名の由来で、この地には1881年から蒸留の歴史があった。現在の大型蒸留所は1992年にギネス傘下のユナイテッド・ディスティラーズが建設した。1996年、バーズタウンのヘヴンヒル工場が火災で9万樽を焼失する惨事に見舞われ、同社は1999年にディアジオからこのバーンハイム蒸留所を取得して再起を果たした。アメリカン・ウイスキーの主要スタイルをすべて造れる稀有な拠点で、5種の看板マッシュビルを持つ。2005年には禁酒法以降初の新スタイル、冬小麦主体の「バーンハイム ウィート ウイスキー」を世に出した。
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エヴァン・ウィリアムスEvan Williams
ヘヴンヒル・ブランズを代表するケンタッキーストレートバーボン。1783年にケンタッキー州初の商業蒸溜所を開いたとされるウェールズ系移民エヴァン・ウィリアムスにちなみ1957年に発売された。手頃な価格ながら安定した品質で知られ、全米で2番目に売れるバーボンブランドとして高い人気を誇る。
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黒ラベルに並ぶ「Since 1783」と「Kentucky's 1st Distiller」。名前の主はルイビルの石工で、ブランドは1957年にヘヴンヒルが立ち上げたもの。「最初」という言葉は100年以上あとの本で初めて現れたと歴史家は言う。ラベルの言葉の出どころをたどる。

バーボン樽はなぜ53ガロン(約200リットル)なのか。法律に定めはなく、TTBの「約50ガロン」定義案も2020年に取り下げられた。戦前の48ガロンから広がった経緯を、木材不足と1879年特許の棚からたどり、通説の確度も見きわめる。

エライジャ・クレイグのラベルに今も残る「バーボンの父」。実在の牧師で蒸溜もしていたクレイグを「最初の人」と書いた記録は生前になく、伝説の出どころは1874年の一行でした。焦がした樽の逸話、1826年の手紙、禁酒運動との関係から、伝説がラベルになるまでをたどります。

定番バーボンは1,000円台、12年もののシングルモルトは数千円。差を生むのは産地ではなく造り方です。単式か連続式か、トウモロコシか麦芽か、熟成の速さ、新樽という逆風、規模、そして日本では関税で説明できない理由まで解きほぐします。

ケンタッキーのバーボンは、空調も断熱もない7階建ての木造倉庫で眠る。2018年、その一棟が12日を置いて二度崩れ、計1万8,000樽が落ちた。それでも新しい熟成庫が木で建てられ続けるのはなぜか。

12年と書かれた一杯の背後には、平均樹齢100年の木がいる。ミズナラは成熟まで200年超、フランスのメランは100年超の林から。ウイスキーでいちばん長い時間は森にある——そしていま米国のホワイトオークで起きているのは「足りない」ではなく「次が育っていない」という話だ。