小麦バーボン(ウィーテッドバーボン)のおすすめ6選——ライ麦を抜くと何が変わるのか。三つの系譜と度数で選ぶ
ライ麦の代わりに小麦を使う「ウィーテッドバーボン」。やわらかさの理由と、スティッツェル=ウェラーに連なる系譜を整理し、メーカーズマークからウェラー、ラーセニーまでおすすめ6本を度数と好みで選び分ける。
バーボンのラベルを眺めていると、ときどき「ウィーテッド(wheated)」という言葉に出会う。小麦を使ったバーボン、という意味だ。メーカーズマークを飲んで「やわらかい」と感じたことがあるなら、その正体が小麦だ。
この記事では、小麦バーボンとは何か、ライ麦を小麦に替えると何が変わるのかを整理したうえで、系譜と度数を手がかりにおすすめの6本を紹介する。
小麦バーボンとは——法律の区分ではなく「二番手の穀物」の話
アメリカの規則では、バーボンは原料穀物の51%以上をトウモロコシにし、内側を焦がした新品のオーク樽で熟成させる、と決まっている(なぜ新樽なのかは別記事で)。残りの穀物に何を使うかは造り手の自由だ。
多くのバーボンは、トウモロコシの次にライ麦を入れる。これを小麦に置き換えたものが「ウィーテッドバーボン」と呼ばれる。法律上の区分ではなく、レシピの通称である。
紛らわしいのが「ウィートウイスキー」だ。こちらは小麦が51%以上の、法律で定められた別のカテゴリーになる。小麦バーボンはあくまでトウモロコシが主役のバーボンで、小麦は二番手にすぎない。

(上は小麦が主役の「ウィートウイスキー」。比べてみると違いがよく分かる。)
ライ麦を抜くと、何が変わるのか
ライ麦は、バーボンにぴりっとしたスパイス感や引き締まった辛さを与える穀物だ。それを抜くと、角が取れ、トウモロコシと樽の甘さが前に出てくる。
メーカーズマークの公式サイトは、軟質赤冬小麦が「口に含んだ瞬間の甘さ」を生むと説明している。パピー・ヴァン・ウィンクルを造るバッファロートレースも、小麦のレシピは「よりやわらかく、なめらか」になると書く。
もちろん味の印象には個人差がある。それでも「ライ麦入りより丸い」という評価は、造り手と飲み手のあいだでおおむね共有されている。スパイシーなバーボンが苦手な人の入口にもなりやすい。
選ぶ前に知りたい「三つの系譜」
いま手に入る小麦バーボンは、大きく三つの流れに分けると見通しがよくなる。
① スティッツェル=ウェラーの系譜。1935年、ケンタッキー州で操業を始めたこの蒸溜所は、小麦を二番手に使うバーボンで名を上げた。率いたのはパピーことジュリアン・ヴァン・ウィンクル・シニアで、W.L.ウェラーやオールド・フィッツジェラルド、レベル・イエールといった銘柄がここで造られていた。蒸溜所は1992年に蒸溜を止め、ブランドは各社に散った。ウェラーは1999年、バッファロートレースを擁するサゼラック社へ渡った。オールド・フィッツジェラルドはヘヴン・ヒルの手に渡っている。ヴァン・ウィンクル家のパピーも、いまはバッファロートレースとの提携で造られている(詳しくはへ)。
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