カリラの種類と選び方——モッホ・12年・ディスティラーズ・エディション・18年・25年の違いと、日本では「入門枠」が安くならない話
アイラ最大の蒸溜所カリラは、日本ではほぼ12年一択で語られる。だが定番はその上下にもある。モッホ、ディスティラーズ・エディション、18年、25年、そしてピートを焚かない一本まで、味の違いと日本での買い方を整理する。
アイラの棚で、カリラのボトルは案外静かに並んでいる。細身の緑瓶に「12」の数字。日本の酒屋やネット通販で見かけるカリラは、たいていこの12年だ。
けれど、カリラの定番は12年一本ではない。年数を書かない下の枠があり、樽で甘さを足した横の枠があり、その上には18年、さらに25年がある。加えて、ピートを焚かずに仕込んだ原酒が、不定期に「アンピーテッド」として顔を出す。
この記事では、それぞれが何をどう変えているのかを整理し、最後に日本で買うときの要点——海外で入門扱いされているボトルが、日本では12年より安くならない——まで押さえる。
まず、どのカリラにも共通する骨格
カリラはアイラ島の北東、ポート・アスケイグ近くの入り江に建つ蒸溜所だ。1846年にヘクター・ヘンダーソンが創業し、いまはディアジオが所有している。年間生産能力はおよそ650万リットルでアイラ最大、スチルは6基ある(→カリラ蒸留所)。
味の面で押さえるべきは、煙はあるが軽いという一点に尽きる。麦芽のフェノール値は隣のラガヴーリンとほぼ同じ水準とされるのに、出てくる酒はずっと涼しい。長めの発酵、高い位置でのスピリッツカット、背の高いスチルという組み合わせで、煙のうち重たい側を落としているからだ。この造りの違いは別稿で詳しく扱った(→カリラ12年 vs ラガヴーリン16年)。
レモンや洋梨を思わせる果実感、磯の塩気、そのうしろに穏やかな煙。この骨格は下から上までどのボトルにも通っている。違うのは、そこに何を足したか、どれだけ長く寝かせたかだ。
モッホ——年数を書かない、いちばん軽い枠
モッホ(Moch)はゲール語で「夜明け」。2011年春に登場した年数表示のないボトルで、度数は43%。当初はディアジオの愛好会「フレンズ・オブ・ザ・クラシックモルト」の会員向けに、ヨーロッパ市場から売り出された。
ディアジオはこれを「熟成年数でも樽でも度数でも仕上げでもなく、味だけを基準に選んだ最初のカリラ」と説明している。熟成年数は公表されておらず、5〜10年程度と推定する解説が多いが、あくまで推定である。
飲むと、12年よりさらに軽い。柑橘とクリーミーな質感が前に出て、煙は輪郭を描く程度にとどまる。「アイラの煙が不安」という人のための入口として設計されたボトル、と考えて差し支えない。
ただし日本では事情が違う。この点は後述する。
12年——基準点であり、最も手に入りやすい一本
いま棚に並ぶ定番の12年が出たのは2002年。カリラの公式ボトル自体はそれ以前にもあったが、限られた流通の枠にとどまっていた。造った原酒の大半をブレンデッドへ回してきた蒸溜所だったからだ(→)。
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