ウイスキーのテイスティングノートの書き方——6つの欄と「大きな箱」で、「おいしい」の先を書き留める
飲んでも「おいしい」しか出てこない——そんな人のための、家で続けるテイスティングノートの書き方。書く欄の決め方、言葉に詰まったときの探し方、点数のつけ方、続けるコツまでを整理する。
「バニラ」「洋梨」「スモーキー」。ウイスキーの紹介文を読むと、それらしい言葉が並んでいます。ところが自分で飲んでみると「おいしい」以外の言葉が出てこない——そんな経験はないでしょうか。
テイスティングノートは、プロのためだけのものではありません。数行のメモを残しておくだけで、次にボトルを選ぶときの手がかりになり、同じ一本を半年後に飲み直したときの楽しみも増えます。
この記事では、家で続けられるテイスティングノートの書き方を、書く欄・言葉の探し方・点数のつけ方・続けるコツの順に整理します。グラスの持ち方や香りの取り方といった手順そのものはウイスキーテイスティングの基本にまとめているので、ここでは「感じたことをどう書き留めるか」に絞ります。
まず、書く欄を決めてしまう
白紙を前にすると、手が止まります。最初に欄を決めておけば、あとは埋めるだけです。おすすめは次の6つです。
- 基本情報:銘柄・熟成年数・度数・樽の種類(ラベルに書いてあれば)・飲んだ日
- 飲み方:ストレートか、加水か。グラスの種類も
- 香り(ノーズ):グラスに鼻を近づけたときの印象
- 味(パレット):口に含んだときの甘さ・刺激・口当たり
- 余韻(フィニッシュ):飲み込んだあとに残るもの、その長さ
- ひとこと:また買うか、何と似ていたか
香り・味・余韻の3つに分けるのは、ウイスキーの評価で広く使われている型です。この3欄を軸にすれば、あとは必要に応じて足し引きしてかまいません。
意外と大事なのが、基本情報と飲み方の欄です。同じ一本でも、ストレートと加水では香りの出方が変わります(水を一滴垂らすと香りが開く理由)。開栓直後と数か月後でも印象は動きます。条件を書いておかないと、あとで読み返したときに「なぜ前回と違うのか」が分からなくなります。
言葉に詰まったら、「大きな箱」から選ぶ
いきなり「洋梨」や「白い花」が出てくる人はほとんどいません。最初は大きな箱から選び、慣れてきたら中身を細かくしていけば十分です。
| 大きな箱 | 細かくすると |
|---|---|
| 果実 | りんご、洋梨、柑橘、レーズン、バナナ |
| 甘さ | バニラ、蜂蜜、キャラメル、チョコレート |
| 穀物 | パン、ビスケット、シリアル |
| 木 | オーク、ナッツ、シナモン、クローブ |
| 煙 | 焚き火、燻製、薬品、タール |
| 海 | 潮、塩気、海藻 |
この「大きな箱から小さな箱へ」という考え方は、業界で使われてきたフレーバーホイールと同じ発想です。ウイスキーのフレーバーホイールは1979年、現在のスコッチウイスキー研究所(SWRI)の前身であるペントランズの研究者シーラ・バートルズとジム・スワンらが中心になってまとめたものです。目的は、会社どうしが原酒を売り買いするときに、言葉の意味をそろえることでした。望ましい香りだけでなく、管理すべき「オフノート(欠点となる香り)」も含まれています。
最初に覚えておくと便利な基準が二つあります。
一つは、果実と甘さの基準。グレンフィディック12年は、洋梨やりんごのような果実の香りで語られることの多い一本です。「果実の箱」がどんな香りかを覚えるのに向いています。
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