ウイスキーの違いは、2杯並べた瞬間に分かる——変える条件をひとつに絞った、家でできる飲み比べ5組
一本ずつ飲んでも違いは言葉にならない。二つのグラスを並べ、変える条件をひとつだけに絞ると差がはっきり立ち上がる。ピート・樽・新樽と中古樽・加水・ブレンドとその指紋——家でできる5つの組み合わせ。
ウイスキーを一本ずつ順番に飲んでいっても、違いはなかなか言葉にならない。「うまい」と「これもうまい」で終わってしまう。
ところが二つのグラスを並べて交互に嗅ぐと、さっきまで見えなかった差が、不思議なほどはっきり立ち上がる。
理由は単純だ。一本ずつ飲むとき、私たちは目の前の一杯を「記憶の中の味」と比べている。記憶はあてにならない。並べれば、比べる相手が目の前にある。
人の鼻は、匂いの絶対的な強さを言い当てるよりも、二つを比べて差を捉えるほうが得意だとされる。ただし嗅ぎ続けると鈍っていく(順応する)ので、ひとつのグラスに長く鼻を突っ込まず、短く嗅いでは離す、を繰り返すのがコツになる。
そして、並べれば何でもいいわけではない。変える条件を、ひとつに絞る。 ここが肝心で、たとえば「山崎12年とラフロイグ10年」を並べても、産地も樽もピートも値段も違いすぎて、何が何の差なのか分からないまま「別物だった」で終わる。
以下は、条件をなるべく揃えたうえで一点だけをずらした、家でできる五つの組み合わせだ。
1. ピートを変える
グレンキンチー12年とカリラ12年。どちらも43%、12年以上の熟成で、シェリー樽を前面に押し出したタイプでもない。大きく違うのは、麦芽を乾かすときにピート(泥炭)を焚いたかどうかだ。
グレンキンチーはエディンバラ近郊のローランドのモルトで、ピートをほとんど使わない。花や刈った草のような、軽く乾いた香り。
カリラは同じ12年でもアイラ島の煙をまとう。冷えた焚き火の灰、潮、レモン。


Caol Ila 12 Year Old
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