
Canada
ライ麦を使ったブレンデッドウイスキーの伝統で知られ、「カナディアン・ライ」という呼称が一般名詞として定着するほどライ麦との結びつきが強い産地。禁酒法時代の米国への密輸で発展した歴史を持つ。法律上の最低熟成期間は3年で、複数の原酒をブレンドする軽やかで飲みやすいスタイルが主流だが、近年はクラフト蒸留所による individuality の高い製品も増えている。
18世紀末に穀物栽培農家が余剰作物を蒸留したのが始まりとされる。1858年、アメリカ人実業家ハイラム・ウォーカーがオンタリオ州ウォーカーヴィルに蒸留所を興し、後のカナディアン・クラブへとつながった。アメリカの禁酒法期(1920〜1933年)には合法的に生産を続けられたため、デトロイト川を挟んで対岸のカナダから密輸船で酒を運ぶ「ラムランニング」が横行し、アル・カポネもウォーカーの顧客の一人だったと伝わるほど、皮肉にもアメリカ市場での知名度を大きく高める結果となった。
冷涼な気候で栽培されるライ麦の風味が伝統的に重視され、「ライウイスキー」がカナディアンウイスキーの代名詞的存在になっている。ハイラム・ウォーカーは複数の原酒(トウモロコシ主体のベースウイスキーとライ麦主体のフレーバリングウイスキー)を別々に蒸留・熟成してからブレンドする手法を確立し、これが伝統的な製法として今も受け継がれている。
全体として軽やかで滑らかな口当たりが主流とされる。ライ麦由来のスパイシーさをアクセントに、飲みやすさを重視したブレンドスタイルが伝統的に好まれてきた。
1858年創業のハイラム・ウォーカー(オンタリオ州)は北米で最も長く操業を続ける蒸留所で、カナディアンクラブやウイスカーズを生む。マニトバ州ギムリのクラウンローヤルは1939年の国王来訪を記念して誕生し、今やカナダを代表する銘柄に。アルバータ州のアルバータ・ディスティラーズは100%ライ麦ウイスキーで知られる。

Pike Creek 10 Year Port Finish
🇨🇦 カナダ ・ ハイラム・ウォーカー蒸留所ほか ・ ブレンデッド ・ 10年 ・ 40%



Alberta Distillers
アルバータ ・ 1946年

Valleyfield
ケベック ・ 1945年

Okanagan Spirits
ブリティッシュコロンビア ・ 2004年

Canadian Mist
オンタリオ ・ 1967年

Gimli
マニトバ ・ 1968年

Glenora (Glen Breton)
ノバスコシア ・ 1990年

Shelter Point
ブリティッシュコロンビア ・ 2011年

Still Waters
オンタリオ ・ 2009年

Highwood
アルバータ ・ 1974年

Hiram Walker
オンタリオ ・ 1858年

Forty Creek
オンタリオ ・ 1992年

Black Velvet
アルバータ ・ 1973年

ウイスキーの入門書に必ず登場する「世界5大ウイスキー」。だがこの括りは公式の定義ではなく、日本で広まった慣習だという。なぜこの5つが特別なのか、それぞれの個性はどう生まれたのか、そして台湾やインドなど「5大」の外側で起きている変化までを読み解く。

5大ウイスキーで一番語られないのがカナディアン。軽やかでハイボール向き…だけではない。二つの原酒を混ぜる独特の造りと、世界一に選ばれたライの実力まで、定番7本を選び方とあわせて紹介します。

アメリカのライウイスキーは「ライ麦51%以上」が条件。バーボンとの違い、スパイシーさの正体、ケンタッキースタイル/ハイライ/カナダの100%ライという3タイプでの選び方と、おすすめ8本を紹介します。

カナダ産と書かせて評判を落とそうとした思惑は、逆にこの一杯を「輸入物の高級酒」に変えた。禁酒法の密輸、女王の御用達、日本の水割り——カナディアンクラブが愛される理由をたどる。