
WHY THIS TASTE
1897年ボトルド・イン・ボンド法の要件で瓶詰めされる版。単一の蒸溜所・単一の蒸溜期に造られた原酒だけを政府監督下の保税倉庫で最低4年熟成させ、必ず100プルーフ(50度)で瓶詰めするという条件を満たす。レシピは80プルーフ版・114プルーフ版と同じ高ライ麦(コーン63・ライ27・大麦10)で、違いは度数と、この法規が保証する素性の明確さ。50度ぶん、ライ麦のスパイスと樽の骨格がはっきり立つ。

この味を生む蒸留所
ジムビーム蒸留所ケンタッキー州クラーモント、世界で最も売れるバーボンを生み出す「バーボンの第一家族」ビーム家の本拠である。18世紀末にドイツから移住したベーム家のヤコブ・ビームが1795年頃に最初の樽を売り、以来7代にわたり一族が造りを受け継いできた。1933年の禁酒法撤廃後、ジム・ビームは70歳で独自の酵母を再現し、わずか120日で蒸留所を再建した逸話で知られる。孫のブッカー・ノエは40年以上マスターディスティラーを務め、1987年に世界初のスモールバッチ「ブッカーズ」を世に問うた。コーン主体のマッシュビルと、禁酒法以前から守られる一族の酵母が、甘くまろやかで飲みやすい定番の味を支える。今日ではビーム サントリーのもと、世界中で愛される揺るぎない看板であり続けている。
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オールドグランダッドOld Grand-Dad
1882年発売のバーボン。名は創業者レイモンド・B・ヘイデンの祖父で著名な蒸留家だったベイジル・ヘイデン氏に由来する。禁酒法時代は薬用酒として製造が続けられ、1987年にナショナル・ディスティラーズからジム・ビーム社に移り、現在はサントリーグローバルスピリッツ傘下。トウモロコシ63%・ライ麦27%・大麦麦芽10%の高ライ麦配合でスパイシーな味わいが特徴。
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禁酒法時代のアメリカで、連邦政府は工業用アルコールにメタノールなどの毒物を加えるよう定めていた。密造業者が毒を抜き、政府がさらに毒を強めた経緯と、語り継がれる「1万人」という数字をどこまで信じてよいかを整理する。

古いバーボンの首に巻かれた紙の帯は、酒税を納めた証であり封印だった。アメリカは1985年、イギリスは2025年、日本も1974年にその帯をやめている。130年近く続いた税シールの来歴を、条文でたどる。

酒税を取りこぼさないため、アメリカは蒸溜所に検定官を常駐させた。ところが1875年、その役人こそが造り手と組んで税を消していたことが発覚する。238人が起訴された「ウイスキー・リング」と、大西洋を挟んだもう一つの答え。

1909年、現職のアメリカ大統領が「ウイスキーとは何か」を自ら裁定した。前政権が出していた答えを覆したこの決定が、いまの「ストレート」と「ブレンデッド」の書き分けを方向づけた。

「ストレート」「ボトルド・イン・ボンド」「スモールバッチ」「シングルバレル」。アメリカンウイスキーのラベルに並ぶ言葉を、連邦規則の裏づけがある土台から順に整理し、棚の前での選び方に落とし込む。

酒が憲法で禁じられた禁酒法の13年間、ウイスキーを合法的に手に入れる道がひとつだけあった——医師の処方箋を持って薬局へ行くことだ。「酒=薬」という古い信仰、処方箋一枚で買えた一パイント、そして薬局チェーンと蒸留所を潤した「例外」まで、禁じることの難しさを読み解く。